2009-01-01から1年間の記事一覧

今日は、断章3の終わり(p.31)まで、ひと通り読み終えました。諸芸術を考える上での基本的な「単位」あるいは「共通の尺度」としての「装飾」ornementについて語った部分です。ヴァレリーは13歳の頃から、オーウェン・ジョーンズの『装飾の文法』なる書物…

今日は、特に-ir動詞の活用練習をノートにたくさん書いていただきました。疲れて眠い4講時は書いて乗り切る!そのあと、疑問副詞の例文を解説し、特にcombien de〜の表現について「週何コマの授業がありますか」「〜コマです」という練習をしました。練習問…

今日は、p.94の上から2行目まで読みました。パイドロスが建築家ユーパリノスの言葉を紹介している部分です。正確な思考がそのまま実行になる瞬間があり、考えることは成すことができる、とユーパリノスは豪語します。それから、ユーパリノスは、自分の建てた…

今日は、パトリック・モディアノの『暗いブティック通り』の第24章と第25章を読みました。通りの名前がたくさん出てきますが、それらは、単なる場所を指示するものというよりは、小説の世界の登場人物として、濃密な存在感を主張しています。そう、主張して…

今日は、まず、断章1の補足として、1935年のフランス哲学協会でのヴァレリーの講演「芸術についての考察」から、1895年の『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』で説かれていた言わば「網膜主義」とでもいった基本姿勢の延長として捉えられる箇所、しかも、…

今日は、まず小テストを実施してから、p.21と、ついでにp.25の歌を聴き、-er動詞と-ir動詞の活用を練習してから、p.20に遡って、練習問題を片付けました。また、avoirの慣用表現(p.18)は本当に重要なので、全人称単数複数で活用練習をしてもらいました。あ…

今日は、p.90の一番下まで読みました。美とは何か、パイドロスは、それは人間の本性を超越させるものだ、と言います。それに対して、ソクラテスは、人間が忘我の境地に入ったり、魂が永遠の聖域を観想したりということはあるとしても、そうした忘我や観想を…

今日は、セリーヌの『夜の果てへの旅』におけるパリと郊外の表象について、お話しました。ルーヴルを先端として、オートゥイユとテルヌを結んだ曲線を底辺とする「パリという都市の美味しいケーキの一切れ」とか、グルネル橋から眺めるビルアケム橋のメトロ…

今日は、先週の続きで、p.26のテクスト1の残り部分を読みました。原典の第18段落と第19段落に当たるところで、相変わらず、奇妙に迫力のある文章が続きます。眩暈、陶酔、悦楽といった感覚的・官能的な言葉を用いながら、ヴァレリーは想像力の運動――見ること…

今日はp.88の中段、マラルメの「デ・ゼッサントのためのプローズ」の一句の引用の直前まで読みました。ユーパリノスの効果理論を称えたあと、ソクラテス先生は、自分は〈真〉だけを愛してきたし、この冥界でも知るべきことはいくらかあるので、それほど不幸…

今日は、アンドレ・ブルトンの『ナジャ』をめぐってお話しました。ブルトンにとってナジャは、想像力の自由の世界へと自分を導いてくれる「自由な精霊」であったわけですが、通常の論理を超越したナジャの言葉と行動に寄り添っていくのは大変な冒険でもあっ…

今日は、p.26の12行目まで読みました。観る人が想像へと上昇する様子を描いた部分。難解なところが多く読みにくいですけれども、たとえば、運動から形を見抜く想像力について記した箇所(特にp.25のl.3-8)は、さりげない書き方のようでいて、実は、とても凝…

前回の小テストの答案を返却して、ざっと解説。綴り字の読み方は時間をかけて少しずつ覚えていくしかありませんが、基本的な規則はなるべく早く覚えてしまうように努力していただきたいものです。それから、フランス語の数字1〜20をアルファベで書いても…

今日は、p.86の下から2行目indefinissablesまで読みました。「実行に細部なし」という掟を、それでは、ユーパリノス自身はどのように実行していたのか、という部分です。パイドロスの長いセリフは前半と後半にはっきり分かれます。前半では、実際の建築現場…

今日は、コレットの『シェリ』を読みました。レアとシェリの心が次第に離れていく様が哀切に、時に、とどめをさすように残酷に描かれていました。薔薇色を基調とした豊かな色彩表現や強烈な比ゆが印象的でした。地図を見ていて面白かったのは、ビュジョー通…

久しぶりでした。今日は、ランベールさんの編集によるヴァレリー芸術論集から、1895年のデビュー論文『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』の読みに入り、p.24の右側中段〈…que lui donne la douleur.〉まで読みました。抜粋された部分は、1番の断章が、原典…

今日は綴り字の発音をめぐる小テストを実施しました。10点満点で平均はかろうじて半分をクリアといったところでした。やはり、「綴り字の発音」はカラダに沁み込むまでに時間がかかります。でも、覚えてしまおうと意識するだけで、どんどん知識が身について…

今日は、p.85の下段のパイドロスのせりふ(「それはまさに私に起こったことでした」)まで読みました。相手の表現を模倣や否定でもじってみたり、意味価値的に反対となるような言葉で受けたり、といった、漫才的要素は今日読んだ部分でもいくつか見られまし…

今日は、夜ふけのパリのグラン・ブールヴァールを舞台にした恋する男の狂詩曲ともいうべきテクストを読みました。プルーストの『失われた時を求めて』から「スワンの恋」の一部です。鈴木道彦訳を参照しつつ、吉川一義先生による仏語日本語対照版(『プルー…

しばらくぶりでした。今日は「綴り字の発音」の続きです。複母音字、鼻母音、半母音、子音字と、ひと通り「法則」を眺め、いくつかの具体例と一緒に練習をしてみました。この「綴り字の発音」は結構退屈なところになりがちですが、ぐっとこらえて、いろいろ…

今日は、p.83の10行目のソクラテスのセリフ(「それこそ神のやり方そのものだ」)まで読みました。この作品には、明らかに、知的掛け合い漫才の趣があります。対話のユーモラスな側面、スピード感といったものを感じ取っていただければ幸いです。まだ全体を…

今日は、「パリの城壁」について、主として、宮下志朗先生の『パリ歴史探偵術』(講談社現代新書、2002年)という素晴らしい本を大いに参照させていただきながら、いろいろな資料を使って、解説してみました。シテ島の城壁から始まって、まず12世紀末のフィ…

今日は、ランベールさんによる解説の部分からpp.18-20のあたりをやや詳しく読んで説明させていただきました。ランベールさんは、ネットで調べてみると、詩人・文芸評論家で、ロジェ・カイヨワについての研究書も書いているという方のようです。ヴァレリーを…

今日は、教科書p.5の発声練習をやってから、次の「プレリュード」に入りました。まず、p.9の民謡「アヴィニョンの橋の上で」の歌を聴いて、聞こえた発音をカタカナで書くという練習をじっくりやって、歌と歌詞とを見比べて「シュールsur」の最後の「ルr」が…

今日は、先週に引き続き、ヴァレリーの伝記的な事実について、補足説明をしました。年表を見ていると、やはり、二度の世界大戦が起こった激動の時代を生きているということがよくわかりますし、1917年以降、1920年代の栄光の道を歩むヴァレリーの姿がフラン…

開講しました!

「パリをめぐる文学散歩」というテーマで、パリを舞台としたフランス文学の作品を読んでいきます。教室が当初の810から609に変更となりましたので、ご注意ください。最初に授業概要と成績評価の方法を確認してから、さっそく、パリ案内を兼ねて、フロ…

開講しました!

ポール・ヴァレリーは様々な芸術家たち(特に画家たち)と、たとえば、レオナルド・ダ・ヴィンチのような芸術家とは想像界で、また、ドガのような芸術家とは現実界で、親しく交わりながら、数多くの芸術論を書きました。この授業では、代表的なテクストをい…

開講しました!

工学部11-14組の一年生対象の基礎フランス語の授業(森田先生とペア)の今井担当分の始まりです。まず、最初に、授業のシラバスのコピーを配付し、到達目標(つづり字の読み方が95パーセント以上できるようになる)や授業内容、成績評価の方法などを確認しま…

開講しました!

今日は、第一回ということで、授業概要と成績評価の方法を説明してから、導入として、ポール・ヴァレリーの生涯について簡単な紹介をしました。大冒険とか波乱万丈とかといった生涯ではないのですが、情念の嵐とその記念碑(挫折や高揚が産んだ傑作)が周期…

2009年度シーズン開幕!

長い冬も終わり、仙台にも桜の季節がやってきました。今年の開花はいつもより少し早いようですね。新2年生のガイダンスや新1年生のオリエンテーション&研究室訪問も終わって、いよいよ今日から2009年度のシーズン開幕です。私の授業日誌も長い冬眠か…