今日は、p.83の10行目のソクラテスのセリフ(「それこそ神のやり方そのものだ」)まで読みました。この作品には、明らかに、知的掛け合い漫才の趣があります。対話のユーモラスな側面、スピード感といったものを感じ取っていただければ幸いです。まだ全体を読んでいないという方々には、とりあえず、岩波文庫清水徹先生訳(『エウパリノス・魂と舞踏、樹についての対話』)を通読して、軽妙な対話劇の感覚を味わってみていただきたいと思います。個人的な感想をいいますと、今日読んだところでは、とりわけ、p.81のl.2-5の「夢を見ている人」の描写が印象的でした。ヴァレリーには、若いときの散文詩の試みとして「アガート」という作品があるのですが、それと似た雰囲気を醸し出しています。この作品には、ユーモラスで軽妙な談話のうちに、ヴァレリーという作家のいろいろな考え方が、あちらこちらに散りばめられていて、さながら、優雅なヴァレリー入門、という性格を持った作品といえるかもしれません。硬質で古風な表現も多々見られ、少し読みにくいところがあるかもしれませんが、不明な点を明らかにして、授業に臨んでくださることを願っています。では、また来週。