2013-01-01から1年間の記事一覧

今日は、ヴァレリーの「レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説」の冒頭部を読み、そこに、デカルトの「方法序説」と似たところを読み取ろうとしてみました。ヴァレリーの「萌芽germe」はデカルトの「良識bon sens」とよく似た人間認識です。この先験的な原理はす…

今日は、プレイヤード版p.1186の上から6行目まで、読みました。「装飾」をめぐる総論部分がひとまず終わり、続いて、各論的なかたちで、絵画、建築が論じられます。ヴァレリーの芸術論には、力学的な比喩が効いています。今日読んだところでは、作り手におけ…

今日は、教科書の最終章の練習問題をすべて片づけました。これで、この教科書をひととおり学習したことになります。年明けの火曜日の授業は、フレンチ・ポップスを中心に、シャンソンを聞く・読む、という授業を行う予定です。なお、1月14日は予定通り、小テ…

今日は、「帯」についてのワルゼールの解説を268頁1行目まで、読みました。ある詩篇の解釈について、似たテーマが扱われている別のテクストを持ってきて、二つ並べて論じてみると、双方互いに照らし合うことがあり、それなりの説明が可能になる、というケー…

今日は、ヴァレリーの1919年の文明評論『精神の危機』をめぐって、松浦寿輝さんの1992年の文章「ヴァレリーとベル・エポック」をじっくり読みながら、紹介してみました。古典主義的な美学を奉じるヴァレリーは過去を向いていますが、その文体そのものは極め…

今日は、プレイヤード版p.1184の上から8行目まで、読みました。構築についての一般的・抽象的な考察が行われている部分です。「レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説」を書いているヴァレリーには、人間の認識行為と構築行為(芸術制作)全般における、ある法則…

今日は、まずp.53の練習問題3番を片づけてから、テキストp.54の文法に入り、接続法のかたち、用法を説明しました。感情や疑問をあらわす表現が接続法を要求します。que以下の言説に網かけが入って特殊化し、ニュアンスの磁場が出来るようなイメージです。決…

今日は、「帯」を読みました。11行目から12行目の「私の沈黙とこの世界との最後の絆」は夜の訪れと共に切れていきます。その絆がフェイドアウトしていく様を、12行目の終わりの省略符号はよく示しています。続く最終詩節の「不在、存在」のあとの省略符号も…

今日は、条件法について、テキスト52頁の文法説明やクリック・ル・フランセの18課の説明と練習問題を参考にしながら、少し時間をかけて説明しました。条件法過去についてはグラメール・アクティブの説明も参考にしました。金曜日までの宿題は、テキスト53頁…

今日は、セリーヌの『夜の果てへの旅』(1932年)の続きです。郊外の現実をハードボイルドに描いた部分は、現代のいわゆる「郊外問題」と構造が同じです。堀江敏幸さんのエッセイを紹介しながら、セリーヌにおける郊外のテーマを考えてみました。それから、…

今日は、プレイヤード版p.1182の下から14行目まで、読みました。構築という意識的な行為の豊かさを知るためには、想像力の様々な経験、知的・感情的な様々な経験が不可欠であることを、ヴァレリーは得意の攻撃的列挙の文体を使って、強調していました。「序…

今日は、まず先週の小テストの答案を返却しました。平均は7割ほどです。今回さぼった方々は、次回以降、満点を目指して、さぼった自分自身にリベンジしてください。期待しています。それから、今日の授業のあと開催される国立応用科学院リヨン校の留学説明会…

今日は、「歩み」のワルゼールによるコメントの残りをざっと読んでから、最後に、「帯」に入り、最初のところだけ目を通しました。ボードレールの「夕暮れのハーモニー」と似た世界です。モネスティエによれば、この詩のイメージや響きは、ボードレールの詩…

今日は、ルイ=フェルディナン・セリーヌの自伝的小説『夜の果てへの旅』から、パリ郊外をテーマにお話しました。また、日本語訳では伝わりにくい、原文の持つ味わいを、少しだけ紹介しました。一人語りのもつ、独特のリズムや、親しみやすい俗語の多用、そ…

今日は、ヴァレリーの「レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説」で展開されている想像力論とも関係深い、言語表現の問題について、明日開催予定のベネディクト・ゴリヨ先生の講演の議論(あらかじめいただいたテクスト)を紹介しながら、フランスの現代詩人たち…

今日は、予定通り、小テストを15分で実施し、その後、解説をしました。ざっと見たところ、出来はまあまあのようです。その後、「クリック・ル・フランセ」の10課で比較級と最上級の練習を少しやり、教科書48頁のディアローグをDVDで見ながら、訳してもら…

今日は、ワルゼールの本の265頁に紹介されている、ヴァレリーの講演の一節を、丁寧に読んでみました。ここには、詩が誕生する瞬間の、形式と内容が未分化の状態が描かれています。形式と内容がまだ分離せず、一体化している状態は、たとえば、フランスの複数…

今日は、先週に続いてブルトンの『ナジャ』と『シュルレアリスム宣言』を、ゆっくり読んでみました。『宣言』のなかで称揚されている「不可思議なものle merveilleux」が、『ナジャ』で、実際に、ルポルタージュとして語られていると言えます。想像力の自由…

今日は、プレイヤード版p.1181の16行目まで、読みました。現代人の専門性とレオナルド的精神の普遍性を対比的に論じた部分です。専門性を長く続いた感覚のマヒ状態に譬えるところには、ヴァレリー自身による専門性への強い批判が感じ取れます。このあと、テ…

今日は、DVDを見ながら教科書17課のディアローグを訳し、指示代名詞を中心に文法事項の説明をしました。関係代名詞を復習してから、宿題となっていた45頁の練習問題1番と2番を片づけました。その後、関係代名詞で二つの文をつなぐ問題をクリック・ル・フ…

今日は、「歩み」についてのワルゼールの解説に入り、p.265の引用文の前6行目(circuler en lui)まで、読みました。解説や論文を読むのは、それなりに訓練が必要です。論の流れを追いつつ、節目節目で論の構成、主張のポイントを確認する癖をつけましょう。…

今日は、アンドレ・ブルトンの『ナジャ』の導入の部分と、最初の出会いの一部を読みました。邦訳69頁で述べられている労働批判の考え方は、じつに興味深いものがあります。しかし、そのような批判に共感はできても、「いまわしい生活上の義務から労働を強い…

今日は、p.1179の下から3行目まで、読みました。人体や顔に対するレオナルド的精神の注意深い観察を語る口ぶりは、やはり、詩的エクフラシスのそれです。特に、プラタナスの木を人体との関連で描き出すシーンの上昇と下降の勢いの感覚、そして、人間の顔とい…

今日は、まずクリック・ル・フランセの15課の2番で、複合過去と半過去の使い分けの練習をこなしたあと、教科書p.42のディアローグを検討してみました。「直接目的語が前に出た場合に過去分詞は性数一致を起こす」という現象と、過去のある時点より前に完了し…

今日は、「歩み」を、ひととおり読んでみました。2行目の「サントマン、ラントマン、プラセ」というところは一歩一歩進んでくる「歩み」の擬態、つまり模倣的諧調でしょう。接吻の実現よりもむしろ、それに至るプロセス(待機)の幸福を描いた詩、日常のなか…

今日は、コレットの『シェリ』を読みました。新感覚派的な色彩表現や食べ物・飲み物の描写が二人の愛の描写と不可分であることを見ました。ちょっとしたディテールですが、レアがシェリのために取っておいてくれた「1889年」の古いシャンペンという記述が出…

今日は、プレイヤード版p.1178の下から8行目まで、読みました。詩的なエクフラシスが続きます。特に「飛ぶ人間」の部分は、「序説」末尾の『鳥の飛翔に関する手稿』からの引用文と合せて、ヴァレリーにおけるレオナルドのイメージのなかでも、決定的に重要な…

今日は、まず、教科書p.41の3番について、聞き取れた範囲で黒板に書いてもらい、他の皆さんにどんどん完全化していただくというスタイルでやってみました。それから、クリック・ル・フランセで複合過去の補足練習をしたのち、最後に教科書16課の直説法半過去…

今日は、「ポエジー」の続きです。まず先週読んだ部分をゆっくりと復習してから、残りの三つの詩節を読み終えました。最後の詩節は、ラ・フォンテーヌの『寓話』とよく似た、教訓風なオチになっていましたね。ワルゼールのコマンテールを少しだけ紹介して、…

今日は、プルーストの『失われた時を求めて』から「スワンの恋」のシーンを読みました。物語の構造は前に読んだマドレーヌ体験のところと似ています。それにしても、物語の展開はスピーディで、しかも滑稽、それでいて鋭い心理分析に満ちていて、とても味わ…