今日は、p.26の12行目まで読みました。観る人が想像へと上昇する様子を描いた部分。難解なところが多く読みにくいですけれども、たとえば、運動から形を見抜く想像力について記した箇所(特にp.25のl.3-8)は、さりげない書き方のようでいて、実は、とても凝った、見事な表現になっていると思います。抽象的な用語を使っている理論的なまとめの部分も印象的ですが、具体的なイメージを並べて例示する際の詩的喚起力の強さという点も、このテクストの大きな魅力であるといえるでしょう。たとえば、カーテンが無限に流れ出したり、椅子がその場で燃え尽きたり、といった「アナロジーのめまい」の具体例は、とても面白いと思います。観る人について、そして、観るという力学について、根本的に考え、想像力の全開状態まで導いているヴァレリーは、概念でものを見がちな一般の読者(私たちもそうでしょう)に向かって、ひとつのセラピーを施そうとしているのかもしれません。ヴァレリーの思考はまだまだ続きます。次回は断章の2番も読む予定ですので、よろしくご準備ください。