問題設定は自分にしかできないということ
前回は論文を書く前提となる問題意識の醸成や問題設定の仕方についてあれこれと話をしましたが、ポイントは、いろいろな先行研究を調べて状況を整理したあとは、自分で問題を設定し、自分で研究を進めていくしかない、ということでした。研究は他のひとに代わってもらうことができません。そんな当たり前のことを確認してから、今回は、受講生の皆さんに問題設定の具体例をおひとり五つずつ用意していただき、説明をしていただきました。硬軟、軽重あるなかで、これは重要という問題が自然と浮かび上がってきたように思います。私も皆さんの用意されたクエスチョンに触発されて、あれこれと思い浮かぶことも多く、そのなかから、なるべく関係のあるお話をするように努めたつもりですが、こうした談話や、皆さんとの質問の投げかけ合いと答え合いは、じつに豊かな言葉の時間です。そこから連鎖的にヒントが出て来て、次の問題意識、あるいは、いっそうの問題意識の絞り込み・明確化につながる可能性があるからです。今後は、実践的考察の手を緩めず、よりよい問題設定とは何かという課題を実践的に考えていきたく存じます。そこで次回は、実習の第四弾として、仮想的な修論の冒頭部(問題提起)を400字程度で実践していただくことにしました。なるべく冗長でない、ポイントの絞り込まれた文章で問題意識を明確化する練習です。引き続き、ご準備のほど、よろしくお願いいたします。