開講しました!

 ポール・ヴァレリーは様々な芸術家たち(特に画家たち)と、たとえば、レオナルド・ダ・ヴィンチのような芸術家とは想像界で、また、ドガのような芸術家とは現実界で、親しく交わりながら、数多くの芸術論を書きました。この授業では、代表的なテクストをいくつか紹介しながら、ヴァレリーと美術の濃密な関係について考察していきます。イントロダクションの今日は、授業概要と成績評価の方法を確認してから、まず、ヴァレリーという人の生涯について簡単に紹介し、続いて、この授業で主に扱う予定の書物(ジャン=クラランス・ランベールの『芸術についてのエクリ』(ヴァレリー芸術論集)1962年)から、ヴァレリーの芸術論の原点といってよい『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』を解説した部分のコピーを配り、大雑把に説明させていただきました。ランベールさんの本は、少し古い本ですけれども、ヴァレリーの主要な芸術論をコンパクトに紹介するにとどまらず、作品のマニュスクリ(草稿)や「カイエ」、ヴァレリー自身による絵やデッサン、ヴァレリーが参照した芸術家の作品など、豊富な資料を惜しげもなく紹介していて(カラー図版がたくさん!)、とても楽しく、しかも有益な本です。次回は、さっそく、断章の1番(pp. 23-26)をやや詳しく見てみたいと思います。とりあえず、『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』の全体に目を通してみたいという方は、翻訳が筑摩書房の「ヴァレリー全集」等いろいろ出ていますので、図書館で探すなどして、読んでみてください。それでは、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。