2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

今日は、ルソーの『告白』第六巻冒頭部と『孤独な散歩者の夢想』第十全文を並べて読み、満ち足りた「愛の幸福」体験がどのように語られているかについて、見てみました。「真に生きた」と言えるあの頃、ただひたすら「享受」するだけで完全に幸福だったあの…

今日は、p.70の真ん中、un seuil.で終わるところまで、読みました。実用的な事柄とは正反対に、保存・再生を誘う美的な事柄があり、その感覚の例としてヴァレリーは空腹と美味の経験を対比して挙げています。美味感覚は、ただ飢えを満たす空腹感の廃棄とは逆…

今日は、第7課の本文と練習問題を終えました。それほど難しいところはないだろうと思っていたのですが、本文10〜11行目の「時制の一致」の現象(ここではchangeraitという「過去における未来形」)の説明に思いのほか時間がかかってしまいました。changerait…

今日から、1932年のヴァレリーのエッセー「マネの勝利」の読みに入り、p.166右側13行目まで、ゆっくりと読みました。実にしゃれた冒頭です。たとえば18世紀のフランソワ・ブーシェなどの絵で有名な寓意画「ヴィーナスの勝利」を下敷きにして、仮に「マネの勝…

今日は、18世紀フランス文学の流れについて概説したのち、ヴォルテールの『カンディッド』とディドロの『ダランベールの夢』の一部を紹介しました。『カンディッド』はミュージカル化されていて、ちょうど今、東京の帝劇で上演されているようですし、過去の…

「芸術についての考察」の続きです。今日は、p.68の「美的無限」からの引用部分の下から8行目のところまで読みました。芸術作品とは何か、という問いをめぐる考察は、まず、特殊個別的な感覚に応える点で一般的な有用性を持つものではないことが指摘され、次…

今日は、ラシーヌの『フェードル』とモリエールの『人間嫌い』から、それぞれ、有名なシーンを紹介しました。悲劇『フェードル』では、ヴェニュスの呪いのために道ならぬ恋の獣と化す王妃フェードルの二つの告白のシーン(ひとつは乳母エノーヌに、もうひと…

今日は、「芸術についての考察」のp.67真ん中部分elle est inutile.というところまで、読みました。芸術作品とは何かという問いに入る前に、人間による作品と自然の作品の違いが考察されています。人間はフォルムを作るために、マチエールの一部だけを考慮す…

今日は、第6課「(ますます)高くなる生活費」の本文と練習問題をすべて片づけました。文法事項のポイントは中性代名詞のenの使い方でした。enは、不定冠詞や部分冠詞の代理としてだけでなく、動詞や形容詞に続くde+〜の代理としても、非常によく用いられま…

今日は、「コローをめぐって」のラストまで、読み終えました。最後は急ぎ足となりましたが、ヴァレリーにおけるcompositionの概念の図式的整理を試みました。用いられている語彙をポジティフとネガティフに分けて整理してみると、だいたいの対立関係(説明の…

今日は、パスカルの「パンセ」から、ブランシュヴィック版の分類で「神なき人間の悲惨」に属する断章をいくつか紹介したのち、有名な「考える葦」の断章の意味するところについて、大雑把ですが述べました。「パンセ」はキリスト教護教論ですが、断章に記さ…

今日は、p.66上から15行目まで、読みました。「芸術家に可能なことというのは、見知らぬ精神のうちに、ある効果を産み出すようななにかあるものを作り上げる、それがすべてです」という言い方はまさにポーの効果理論そのものであることを指摘しました。その…

今日は、先週実施した中間テストの採点済み答案を返却し、ざっと解説しました。全体的にまずまずの出来でした。実力問題では、辞書使用可でしたが、使う辞書がポケット版辞書だと、用例や語彙が少なかったりして、解釈が不十分になるということが起こりえま…

今日は、p.164の右側上から4行目まで、読みました。風景画の評価が次第に高まってくることと、流行、つまり現代の好みの変化とが関係しているということ、そこには危険があるということをヴァレリーは述べているようです。コローにおいて重要な「構成」(こ…

特別講演

今日は、概論の時間を使って、ボルドー第三大学教授のドミニック・ラバテ先生による講演「窓は開けるかもしくは閉めねばならぬ――ボードレール、マラルメ、アポリネールにおける窓のモチーフ」が、森田直子先生の司会・逐次通訳によって開催されました。多く…

今日は、p.64の真ん中あたりまで、読みました。ヴァレリーは芸術制作者の能力を高めてくれる親身な教育というものがかつては存在した(エレディアから韻文詩の作り方についての手ほどきを受けたのが自分が受けた最後の教育だったとヴァレリーは回想していま…

今日は予定通り中間テストを実施しました。35点満点のうち、第1問(教科書からの出題)が20点、第2問(実力問題)が15点の配点です。第1問はやさしめの問題が多かったと思いますが、準備不足の方はやはり苦しかったようです。第2問は「ル・モンド」から日本…

今日は、p.163の左側下から9行目まで、読みました。コローの評価は1932年現在(ヴァレリーがこのテクストを書いている時点)で揺るぎないものがありますが、1845年ごろにはコローの評価は今とは違っていたとして、ヴァレリーはボードレールの「1845年のサロ…