2016-01-01から1年間の記事一覧

今日は、p.147の14行目まで、読みました。物質の構成についての分子・原子レベルの研究へと進んでいく19世紀末の科学知を取り込むヴァレリーの姿が垣間見られる部分です。建築物と分子モデルの相互乗り入れは芸術と科学の相互乗り入れを示す典型です。次回は…

今日は、ヴァレリーの1919年の文明評論「精神の危機」を読みました。第一次世界大戦終結直後に書かれた、歴史的条件の強いテクストですが、詩人ヴァレリー独特の歴史認識やヨーロッパ論の基本がうかがえます。美徳が悪徳を生み、無が無限に豊富でありうる、…

今日は、まず宿題の仏作文を回収しました。皆さん、かなり気合が入っている感じです。添削は私の冬休みの宿題とさせていただきます。年明けの授業で返却します。さっそく第15課の本文を読み、練習問題もすべて終えました。レストランの爆発的な普及はフラン…

今日は、p.145の下から6行目の終わりまで、読みました。建築と音楽の関連というテーマはのちの対話作品『ユーパリノスまたは建築家』にも出てきます。レオナルド的知性が戯れるくだりは、想像力の運動が活き活きと描かれていて、散文詩的な効果を持っている…

今日は、ヴァレリーの『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』の冒頭部をデカルトの『方法叙説』の冒頭部と比較しながら、両者の人間論の共通性について解説しました。次回はヴァレリーの『精神の危機』を読む予定です。

今日は、宿題の作文を返却し、作文例をいくつか紹介してから、第14課の本文の読み、練習問題を終えました。作文は皆さんの表現力(表現欲求)の片りんをうかがう良い機会です。これに味をしめ、今日の本文に出てきた「なぜ〜か。理由は複数ある。まず〜、次…

今日は、p.144の14行目まで、読みました。芸術享受、特に絵画鑑賞のありうべき方法について、ヴァレリー得意の皮肉がさく裂している箇所です。モーリス・ドニの表現との類似性の指摘は勉強になります。だんだん残り少なくなってきました。来週も予習をどうぞ…

今日は、先週に続いてプルーストの『失われた時を求めて』から「スワンの恋」の一節を、読みました。冴えわたる心理描写とは、こういうテクストのことを言うのでしょうか。一読してすっきりしないけれども、注意深く再読すると複雑ながら真に迫ったリアルな…

今日は、まず宿題の作文を集め、模範解答例をひとつ紹介しました。「たしかに〜、しかし〜」のような「表現の型」というのは普遍的で、どんな言語にも存在しそうですね。すぐに13課の本文に入り、全体を読み終え、練習問題を片づけました。次回は14課を全部…

今日は、p.142の15行目まで、読みました。「装飾」という一種の表現単位に注目して、諸芸術の歴史を総括的に捉える試みです。ヴァレリーは一時「装飾の歴史」という試論を構想していたらしいことが脚注に書いてあります。ジャルティ先生の新版の脚注は、新た…

今日は、プルーストの『失われた時を求めて』のプチット・マドレーヌ体験の一節と、「見出された時」の芸術哲学を述べたくだりを、読みました。戦慄、おののき、震え……、感動の要所要所でこの身体経験が反復されます。現像を待っているネガは私たちのなかに…

今日は、まず先週行った中間テストの答案を返却しました。ちゃんと準備した人は高得点、準備不足の人はそれなりの点数でした。不本意な成績だった方は普段の授業と最後の期末テストで挽回してください。今日は、第12課の本文を読み、練習問題をすべて片づけ…

今日は、予定通り、中間テストを実施しました。試験終了後は、問題の解答例を皆さん自身に示してもらいつつ、特に、最後の自由作文問題について、十分に時間をかけて紹介しました。普段は作文になかなか時間が割けませんが、やはり、表現の訓練は重要です。…

今日は、p.141の上から6行目まで、読みました。「構築理論」をめぐる後半部のリードに当たる部分です。ヴァレリーが目指しているのは、制作一般についての共通尺度です。のちに「ポイエチック(制作論)」という表現を使うようになりますが、その企図はすで…

今日は、ランボーの『地獄の一季節』から、詩人物語「言葉の錬金術」を読みました。これは、詩人が自分の詩を引用しながら自分の詩学(あるいは詩の実存的な修行)について語る、メタポエムです。想像界で上昇と下降を繰り返す、その振幅の激しさが、ランボ…

今日は、第11課の本文の読みと練習問題をすべて、終えました。皆さん、ちゃんと予習をしてくれているおかげで、気持ちよく、メリハリをきかせて進めることができました。さて、来週は、予定通り、中間テストを実施します。範囲は第8課から第11課です。しっか…

今日は、p.139の上から9行目まで、読みました。レオナルド的精神のじつに伸び伸びとした動きが活写されている箇所です。その普遍性が現代人の専門性との対比において浮き彫りにされていました。ヴァレリーは時々、こうした対照法を活用します。さて、高原の…

今日は、マラルメの若い頃のメタポエム(詩人についての詩)を四つ、読みました。「陽春」「鐘突き男」「海の微風」「青空」です。理想の詩を書けない詩人が書けないことをテーマに詩を書いてしまうというところが面白いですね。友人カザリス宛の手紙にある…

今日は、第10課「機会均等」の本文と練習問題をすべて、片づけました。教育の平等性を確保することはフランスでも大きな問題でありつづけています。ZEP(優先的教育地区)の生徒を受け入れるシアンス・ポの取り組みは高く評価されているようです。さて、今日…

今日は、ゾラの『居酒屋』を読みました。前回からの続きで、特に19世紀後半の小説の特徴といえる描写について、絵画との関係を考えながら、ゾラのテクストを詳しく見ました。色彩、光、におい、触感など、感覚に訴える表現がじつに多く、印象派絵画との親近…

今日は、第9課の本文の残りを読み、練習問題の4番まで、片づけました。先週休講した分だけ、説明が普段以上に丁寧になり、快速運転とはいきませんでしたが、ゆっくり読むと、それだけいろいろなことに気がつくのも事実です。今後は、メリハリをいっそうきか…

今日は、第27段落の終わり(p.136の下から2行目)まで、読みました。レオナルドの手稿を読んだ経験が文章に反映されています。一種のエクフラシスですね。とりわけ、第27段落は、「〜から〜まで」を表す表現がポワンヴィルギュルを多用していくつも列挙され…

今日は、フローベールの『感情教育』の冒頭を中心に、描写の特徴について解説しました。ジャック・ノワレのいう「視覚化」はここでも顕著でした。ルイーズ・コレ宛の手紙で、フローベールは、韻文のような散文を書くことが目標と述べていましたが、その点、…

今日は、第8課の練習問題を着実に片づけてから、第9課の本文に入り、13行目まで、読みました。そろそろペースが安定してきたようです。予習ではCDのフランス人の読みを何度もリピート発音してみると気持ちよくなってくるはずです。来週は出張のため休講させ…

今日は、p.135の上から14行目(第26段落の4行目)まで、読みました。私たちは世界を連続性に還元すべく努力するわけですが、どうしても空隙が残ってしまいます。そこを自在に埋めるのがレオナルド的な「普遍的人間」に他なりません。「天才」という言葉はア…

今日は、フローベールの『ボヴァリー夫人』から有名な農事共進会のシーンを読みました。その前に、ジャック・ノワレによるフランス19世紀小説史の解説を少し紹介しました。18世紀以前の観念中心の小説に比べ、19世紀小説は現実の「見える化」に腐心するとい…

今日は、第8課の本文を読み終えました。ホテル・リュテシアはドイツによる占領中は諜報機関(ゲシュタポ)の本部となり、解放後はナチス強制収容所帰還者のための受け入れセンターになりました。「なんというパラドクス!」という一文のあとの、ホテルの豪奢…

開講しました!

今日は、前期の続きで、『序説』の後半部に入り、第20段落から第22段落の終わり(p.134の13行目)まで、読みました。世界には、規則的な組み合わせ(連続性/シンメトリー/周期性)が不規則にばらまかれていて、それらは、人間精神を導いてくれるという話で…

開講しました!

今日は、初回のルーティン(授業概要、成績評価の方法などの説明)を終えたのち、文学史の方法と題して、ひとつの具体例をとりあげました。ボードレールの『パリの憂鬱』のなかの「駄目なガラス屋」が、エドガー・ポーの『天邪鬼』のポジティブな影響と、ア…

開講しました!

今日は授業初回のルーティン(授業概要、教科書、成績評価の方法などの説明)を済ませたのち、さっそく、テキスト第8課「伝説のホテル ル・リュテシア」の読みに入り、p.30の13行目まで、読みました。夏休み明けでしばらくフランス語から遠ざかっていた方も…