火2ユーパリノスまたは建築家

今日は、最終回。ヴァレリーの若い時の文章「建築家についての逆説」をざっと読みました。このテクストの冒頭部と結末部に現れるオルフェウスは、音楽家にして建築家でもあるアンフィオンの神話と重なって、音楽と建築の深いアナロジーを象徴する人物となっ…

今日は、ついに、p.147のラストまで、読み終えることができました。昨年4月からずっと読んできて、全部で25回かけて、プレイヤッド版で69ページ分のテクストをひととおり熟読したことになります。けっして易しくはない、実に凝ったフランス語のテクストを、…

今日は、p.144の18行目まで、読みました。建築家になったかもしれないソクラテスが建築論を語る、作品結末部分の長い台詞の前半部まで読んだことになります。p.143からp.144にかけての部分では、造物主(デミウルゴス)による天地創造が、壮大なイメージで語…

今日は、p.141の3行目まで、読みました。マグロやイルカの泳ぎを参考に、トリドンは、海を航行する船のあるべき形を考えつくそうとします。船は大きく、どうやら、魚の形をそのまま真似ても、いい船はできないということのようです。パイドロスが、いつか、…

今日は、p.137の22行目まで、読みました。パイドロスが語る、フェニキアのトリドンなる男は、なかなか魅力的な人物です。p.134で繰り出される比喩が実にイメージ豊かでユーモラスですね――優れた他者たちの脳髄を吸って太った動物の周囲には無数の空の頭蓋が…

今日は、p.133の終わりまで、読みました。人間の実際の制作物においては、有用性と美と持続性の三原理が混交して現れることも多いとパイドロスは指摘し、その好例として幾何学者の仕事が紹介されます。幾何学は思考の行為による自然の抽象であり、幾何学者に…

今日は、p.130の5行目まで、読みました。自然の産物と人間の産物の区別という問題が、あいかわらず続いています。物の生成原理について、偶然の生成、自然の生成、人間による生成の三つのモードが語られたあと、前二者については、作るものと作られるものが…

今日は、p.126の7行目まで、四ページ分、進みました。約束どおりの快調なペースです。自然の作と人間の作の根本的な違いについて、ソクラテスの思考が展開される部分。「複雑さの程度」という概念を使って、自然物はその程度が高いのに対して、人間の制作物…

今日は、p.122の2行目まで、読みました。最後、少々急ぎ足になってしまいましたが、約束の四ページ分、進むことができました。海辺で拾った美しい物は、果たして、人間が作ったものなのか、それとも、他の生き物が作ったものなのか、それとも、自然界が長い…

今日は、p.114の1行目からp.118の5行目まで、4ページと少し、読みました。ソクラテスによると、人は複数存在として生まれ、唯一存在として死ぬのだが、時折、萌芽としての観念にとどまった人格たちが存在を望むことがある、といいます。ソクラテスは哲学者と…

今日は、p.110の11行目からp.113の最後まで、読みました。ほぼ4頁分ということで、予定通りの進度です。言葉がなければ幾何学はないという格言的命題から、話題は、言葉に関する考察へと移っていきます。p.111真ん中部分のソクラテスの台詞では、複雑な言葉…

開講しました

今日は、p.106の5行目からp.110の11行目まで、4頁と少し、読み進めることができました。いいペースです。ソクラテスとパイドロスの対話は、自然のオブジェと人間が作ったオブジェの対比のテーマから、幾何学的な形とそうでないものの区別の話へと進んでゆき…

今日は、p.106の上から4行目まで読みました。今日読んだところでは、音楽と建築という二つの芸術が、他の芸術(たとえば絵画)と比べ、現実のオブジェに従属しないという点で人工性が高いこと、つまり、ユーパリノスのいう「唯一芸術のみによる構築物」「あ…

今日は、p. 103の一番下まで読みました。ユーパリノスの身体への祈りを聞き終えたソクラテスは、「歌う建物」についての独自の考察を展開します。音楽と建築は、人をその作品のうちに閉じ込める、とソクラテスはいいます。建築について、われわれは、建築家…

今日は、ユーパリノスによる身体への祈りの部分を読み終えました。p.99の下のほうで、身体が宇宙に匹敵するものとされ、そこから、球体としての宇宙(世界)、その中心にある身体、そして、世界の外面しか見ない魂(精神)という三つの要素が出てきます。こ…

今日は、p. 99の18行目まで読みました。p.97から98にかけて、ユーパリノスの寓話(薔薇の蝋細工を砂に埋めて溶かし、その鋳型に青銅を流し込むと、薔薇のブロンズ像ができるというアレゴリー)についてのパイドロスの解釈――薔薇はあらゆる事物あるいは人生、…

今日は、p.97の16行目まで読みました。込み入った表現が多いところですが、ユーパリノスによる一種の天才論、一種の霊感論です。しかし、天才という単語も霊感という単語もけっして使われません。p.96の前半部分は、こんな人間がいたらすごいだろうなあ、と…

今日は、p.95の下から5行目まで読みました。ユーパリノスの言葉を紹介するパイドロスのこの長いセリフは、プレイヤッド版テクストで、およそ6ページ分にわたって続きます。どんどん先へ進みたいという気持ちもあるのですが、ここはやはり精読の姿勢を貫きま…

今日は、p.94の上から2行目まで読みました。パイドロスが建築家ユーパリノスの言葉を紹介している部分です。正確な思考がそのまま実行になる瞬間があり、考えることは成すことができる、とユーパリノスは豪語します。それから、ユーパリノスは、自分の建てた…

今日は、p.90の一番下まで読みました。美とは何か、パイドロスは、それは人間の本性を超越させるものだ、と言います。それに対して、ソクラテスは、人間が忘我の境地に入ったり、魂が永遠の聖域を観想したりということはあるとしても、そうした忘我や観想を…

今日はp.88の中段、マラルメの「デ・ゼッサントのためのプローズ」の一句の引用の直前まで読みました。ユーパリノスの効果理論を称えたあと、ソクラテス先生は、自分は〈真〉だけを愛してきたし、この冥界でも知るべきことはいくらかあるので、それほど不幸…

今日は、p.86の下から2行目indefinissablesまで読みました。「実行に細部なし」という掟を、それでは、ユーパリノス自身はどのように実行していたのか、という部分です。パイドロスの長いセリフは前半と後半にはっきり分かれます。前半では、実際の建築現場…

今日は、p.85の下段のパイドロスのせりふ(「それはまさに私に起こったことでした」)まで読みました。相手の表現を模倣や否定でもじってみたり、意味価値的に反対となるような言葉で受けたり、といった、漫才的要素は今日読んだ部分でもいくつか見られまし…

今日は、p.83の10行目のソクラテスのセリフ(「それこそ神のやり方そのものだ」)まで読みました。この作品には、明らかに、知的掛け合い漫才の趣があります。対話のユーモラスな側面、スピード感といったものを感じ取っていただければ幸いです。まだ全体を…

今日は、先週に引き続き、ヴァレリーの伝記的な事実について、補足説明をしました。年表を見ていると、やはり、二度の世界大戦が起こった激動の時代を生きているということがよくわかりますし、1917年以降、1920年代の栄光の道を歩むヴァレリーの姿がフラン…

開講しました!

今日は、第一回ということで、授業概要と成績評価の方法を説明してから、導入として、ポール・ヴァレリーの生涯について簡単な紹介をしました。大冒険とか波乱万丈とかといった生涯ではないのですが、情念の嵐とその記念碑(挫折や高揚が産んだ傑作)が周期…