開講しました!

 今日は、第一回ということで、授業概要と成績評価の方法を説明してから、導入として、ポール・ヴァレリーの生涯について簡単な紹介をしました。大冒険とか波乱万丈とかといった生涯ではないのですが、情念の嵐とその記念碑(挫折や高揚が産んだ傑作)が周期的に現れるという点ではかなり「波」のある人生、また、いろいろと「神話」的な演出(?)の多い人なので、よくよく見てみると、なかなかに「冒険」的な人生ではないかと思います。私たちがこれから読むのは、いわゆる中期の傑作といわれるプラトン的対話篇『ユーパリノスまたは建築家』です(「エウパリノス」と読むのがギリシャ語的ですが、私は、なぜか、「ユーパリノス」というフランス語読み(最後の「ノス」はやや非フランス語的かもしれないのですが、固有名詞ですからオーケーでしょう)に慣れているため、それで通させてください)。これは1921年(単行本としては1923年)の作ですが、実はカトリーヌ・ポッジという愛人との交渉が微妙に反映されています。去年、清水徹先生による新訳が岩波文庫から出ましたので、皆さん、入手して、ひと通り、翻訳を読んでおいてくださると助かります。今日は、伝記的な事実の紹介だけで時間が来てしまいした。来週は、ヴァレリーとその時代について、もう少し、導入的なお話をしてから、テキストの読みに入りたいと思います。とりあえず、毎回、4ページくらいをメドに、進んでいきます。スキャナーをかけるような100パーセント精密な読みも大切なのですが、一定の量を稼ぐ必要もありますので、徐々にですが、メリハリの利いた読解演習の場にしていきたいと思います。基本的には、文法的・語彙的に不明な部分を明らかにするという「予習」をしっかりやって、授業に臨んでいただきたいものです。皆さんの積極的な参加を願っております。どうぞ、よろしく。PS.今日配付したプリントは研究室に置いておきますので、次回から参加される方は、どうぞお持ちください。