2012-01-01から1年間の記事一覧

今日は、p.1245の下から12行目まで、読みました。1244頁のところは、ヴァレリーの芸術論でも重要な部分です。哲学的美学が二つの対立する観念に分離してしまうところの諸要素(たとえば物質と精神とか意識と無意識とか……)のあいだに、芸術家たちは、活発な…

先週は、アントワーヌ・コンパニョン先生の講演会にお集まりいただき、誠にありがとうございました。おかげさまで、とても充実した勉強の機会となりました。さて、今日は、「ナルシスは語る」の最後まで、読みました。主客のイメージが一体化する表現がでて…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』の第10番、「午前一時に」の読みに入り、37行目まで、読みました。9番の「駄目なガラス屋」の「私」も理想・夢想や鬱屈・倦怠を感じながら自室にいましたが、この10番の「私」も深夜、今日一日のあれやこれやのくだらな…

今日は、「レオナルドと哲学者たち」の続きで、プレイヤード版第1巻のp.1243の下から4行目まで、読みました。関係節の多い、息の長い文章、しかも抽象的な表現の多い文章が続きますが、芸術と哲学(美学)との断絶を際立たせるヴァレリーの文章の息遣いは熱…

今日は、「駄目なガラス屋」のテクストを最後まで、読みました。「花の鉢」が「私の戦いの武器」となってガラス屋を天罰のように垂直に襲います。ウーセイ宛の序文や、ウーセイの「ガラス屋の歌」を読んだあとで、この印象深いシーンについて改めて考えてみ…

今日は、「レオナルドと哲学者たち」の続きで、p.1242の下の一行空きのところまで、読みました。前回やや急いだ部分の復習にゆっくり時間を費やし、ヴァレリーのアンチモデルニテ論の例を、「ドガ ダンス デッサン」と「イタリア美術展に寄せて」から選んで…

今日は、「ナルシスは語る」の第6詩節の終わりまで、読みました。水鏡に映ったイメージとしてのナルシスと、それを眺めるナルシスとの、二人のナルシスの対峙が、次第に緊張感を帯びてきます。来週22日はアントワーヌ・コンパニョン先生の講演の準備のた…

今日は、ボードレール『パリの憂鬱』第9番「駄目なガラス屋」の後半に入り、p.120の74行目のところまで、読みました。相変わらず息の長い文が続きますが、文の骨格(主語名詞と述語動詞)をつかんで、残りの飾り部分、細部の関係を丁寧に読み解けば、全体が…

今日は、ヴァレリーの評論「レオナルドと哲学者たち」の続きで、p.1241の下から13行目まで、読みました。実効性のある知のみが知として認知されるようになって以来、倫理学や美学といった形而上学はいにしえの力を失い、また、新しさ、烈しさ、奇妙さ(無意…

今日は、前回の復習(とりわけマラルメの詩『エロディアード』とのintertextualite(間テクスト性)についてやや詳しく説明)をしたのち、ヴァレリーの詩「ナルシスは語る」の第2詩節の終わりまで、読みました。定型詩の約束事や修辞法の基本に触れながら、…

5月22日フランス文学特別講演開催

コレージュ・ド・フランスのアントワーヌ・コンパニョン先生が、きたる5月22日に来仙され、「写真映りのよい詩人 ボードレールの現代性」というテーマで、講演をしてくださいます。詳しくは案内をご覧ください。多くの皆さまがたのご来聴をお待ち申し上げま…

今日は、「駄目なガラス屋」の続きで、p.119の33行目まで、読みました。相変わらず息の長い文が連続しますが、めげずに、文の構造を追いかけてみてください。それと、綴り字の読み方がしっかり身についていないケースが時折目につきます。フランス語の発音の…

今日は、p.1238の下から2行目まで、読みました。哲学者は行動価値についての学(倫理学)と感情表現や感動創造にかかわる諸価値についての学(美学)という二つのものを自分のうちに構築せざるをえない、とヴァレリーが言っているところで使われていた比喩――…

今日は、いよいよ「ナルシスは語る」のテクストの読みに入りました。もたげる疑問を大切にしながら、ゆっくり読んでいます。タイトル、エピグラフ(銘句)、それから最初の二行をめぐって、あれやこれや、考えてみました。意味ばかりでなく、音やイメージを…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』の序文「アルセーヌ・ウーセイに」のテクストの残り部分を読んだのち、「駄目なガラス屋」の冒頭部5行目まで、ゆっくりと読んでみました。息の長い文があたりまえのように出てきますが、めげずに、粘り強く、読み解いて…

今日は、p.1237の下から9行目まで、読みました。普遍性を担保に語っていると思っていても個人の特殊性に行きつかざるをえない哲学者の言説の矛盾について、ヴァレリーは批判の手を緩めません。今日読んだところでは特に、ヴァレリーの哲学批判が活き活きとし…

今日は、先週のヴァレリー紹介記事の残りの部分を、ゆっくり読んでいるうちに、時間になってしまいました。ジッド宛てのヴァレリーの手紙にある自己分析のことば「私はあらゆる矛盾の幾何学的な場である」は面白い表現でした。ヴァレリーの詩や文章の特徴が…

開講しました!

本日、開講しました。今日は、まず、『講義概要』をもとに、授業の内容と成績評価の方法などを説明したのち、さっそく、当面のあいだ読んでいく予定のテクストを配付しました。ボードレールの散文詩集『パリの憂鬱』から、短編小説のような面白さに満ちた詩…

開講しました!

本日、開講しました。今日は、ヴァレリーの1929年の散文「レオナルドと哲学者たち」のテクストを配付し、さっそく冒頭部分を(p.1235の下から5行目まで)読んでみました。このテクストはイタリア出身の作家レオ・フェルレーロ(1903−1933)のデビュ…

開講しました!

本日、開講しました。初回の今日は、まず、『講義概要』にもとづいて、授業の内容や成績評価の方法を確認したのち、プリントを配付し、クラシック・ラルース版『魅惑』の冒頭部に記されたポール・ヴァレリーについての基本的な紹介記事を参照しながら、ヴァ…

期末試験実施

今日は、最終回。予定通り、期末試験を実施しました。1番は教科書からの出題。皆さん、だいたい、よい出来です。2番は実力問題。昨日のル・モンド電子版の記事から、IAEAの調査団が日本の原発のストレステストの結果を検証する、という内容のニュースを訳し…

レポート締切

今日はレポート締切日。授業に出席していた方々全員が、力作を提出してくださいました。これからじっくりと拝読させていただきます。まずは、レポートご苦労様のご挨拶まで。

筆記試験実施

今日は、予定通り、筆記試験を実施しました。試験を受けた方々、たいへんお疲れ様でした。答案をざっと拝見したところ、なかなかの力作ぞろい(のよう)です。これからじっくり読ませていただくのが楽しみです。みなさんそれぞれいろいろとお忙しいのでしょ…

最終回

今日は、1992年のミシェル・アキアンの論文を概観し、「ナルシス〈断章〉」草稿の観察から判明するヴァレリーの詩作技法の特徴三点――(1)脚韻から始めること、(2)転置の多用、(3)入れ替えの多用――について、簡単に追ってみました。(2)と(3…

教科書終了

今日は、テキストの最後となる第20課を、本文・練習問題ともすべて終えました。これで、このテキストを完全に終えることができました。来週は予定通り期末筆記試験を実施いたします。テキストからの出題(辞書なしで20点満点)の範囲は第16課〜第20…

最終回

最終回の今日は、ヴァレリーのソネット「鮮やかな火が……」を、1897年の「カイエ」のヴァージョンと比べながら読みました。眠りと目覚めのあいだの微妙な状態をコンパクトに描いた名品だと思います。最後のテルセの脚韻がmer(海)→merveille(「驚異」とか「…

今日は、アンドレ・ブルトンの『シュルレアリスム宣言』(1924年)と『ナジャ』(1928年)を紹介しました。「うろたえた目撃者」にしかなれない「断崖型の事実」は、一線を超えると「自分自身との平和な関係の完全な喪失」に至ってしまうかもしれない危険な…

今日は、セレレット=ピエトリの論文「ナルシスの変貌」(1974年)を、ついに読み終えました。ヴァレリーの作品「ナルシス断章」の研究論文としては、全体で20頁と短いながらも、内容的には、情報量の豊かさと思考の緻密さの点できわめて濃密であり、教えら…

今日は、第19課「カルトにご注意」の全文と練習問題をすべて、片づけました。フランスの「ライシテ」は重要な話題ですので、この単語(名詞は「ライシテ」、形容詞は「ライック」)は是非覚えておきましょう。来週はいよいよ教科書最終課となります。ラスト…

今日は、「むなしい踊り子たち」を、ひととおり読んでみました。これがバレエの情景を指しているのではないかと推測することは、一読しただけでは難しいですね。プレイヤード版の註に紹介されている1942年版『詩集』掲載のヴァージョンでは、「闇」との対比…