火4ヴァレリーの詩を読む

今日は、前回少しだけ触れた、思考に関する散文詩「アガート」をめぐる共同研究の成果について、ざっと紹介し、第一節だけ、読んでみました。訳文、訳注、原文をコピーしてお配りしましたので、関心のある方は、是非お読みくだされば幸いです。来週は都合に…

今日は、「詩の愛好家」の終わりまで、読みました。前半二詩節で思考の断続性(未完成性)が一般的に述べられたあと、後半三詩節で詩の経験が「完成したひとつの思考」を味わう幸福な経験であることが語られています。抽象的ですが、詩を読むことの悦びが力…

今日は、「セミラミスの歌」の残りを読み終え、間髪をいれず、最後の詩「詩の愛好家」(これは『旧詩帖』のなかで唯一の散文詩です)に入り、第三段落の終わりまで、読みました。思考をきわめて一般的に表象し、そのかりそめに流れていく姿に明確な形を与え…

今日は、「セミラミスの歌」の第15詩節から第24詩節まで、読みました。バビロンの女王セミラミスが、塔の高みから都市を眺めおろし、新たな神殿の建設が進む街の活気に満足し、民衆への嫌悪と愛情の混交、民衆の蜂起の可能性に対する鎮圧力の自負、恋愛の奴…

今日は、「セミラミスの歌」の第14詩節まで、読みました。アウロラの目覚めの促しに応えてセミラミスが覚醒し起き上がります。帝国の女主人はお気に入りの塔にのぼって、自分の都市国家を見降ろします。その時、彼女の魂の力は無限です。今日読んだ部分では…

今日は、「セミラミスの歌」の第5詩節の「肉体の打ち勝ち難い横糸」という表現をめぐって、ホワイティングさんの注釈をじっくり読んでみました。「アンヌ」では男の影が濃厚でしたが、「セミラミスの歌」では、特に冒頭部においては、男の影や性的なもののイ…

今日は、「アンヌ」の残りを読み終えたのち、「セミラミスの歌」に入り、とりあえず第5詩節の終わりまで、読みました。「アンヌ」から「セミラミスの歌」への接続は、眠る女のイメージと、曙の訪れと目覚めというテーマで、じつにスムーズに行われていると思…

今日は、「アンヌ」の続きで、プレイヤード版所収の全十三詩節のヴァージョンを第九詩節まで、読みました。ところどころイメージがつかめない部分は残りましたが、全体として、眠る裸婦像と、女と男たちのエロス的緊張の劇が、抽象的な語彙と具体的な比喩に…

今日は、「夕べの豪奢」のラスト部分を読み終え、間髪をいれずに、次の詩篇「アンヌ」の読みに入りました。今日は、ホワイティングさんの注釈本に紹介されている、1900年12月1日号「ラ・プリュム」誌掲載のヴァージョン(全部で六詩節)に目を通してみました…

今日は、「夕べの豪奢」の最終節の6行目(全体の85行目)まで、読みました。第10詩節で想像力の伸びやかな飛翔がピークに達したあとは、日没を迎え、闇となり、目に映る美しいイメージたちとの別れを経て、ついには「もはや見えなく」なります。闇がひたひた…

今日は、「夕べの豪奢」の第9詩節の終わり(45行目)まで、読みました。ヴァレリーは特にアリテラシオン(畳韻)を好む詩人であるというワルゼールの文章を紹介しました(『ヴァレリーの詩』110-111頁)。そして、全体の構成については、ホワイティングの指…

今日は、ややゆったりめに前回の復習をしたのち、第6詩節(セクションでいうと第3章)を、読みました。結局、son regardのsonやil adoreのilは、「太陽=神」と採っても、「不動の人間=私」と採っても、どちらでも解釈可能であることがわかりました。という…

開講しました!

本日、開講しました。授業内容、評価の方法などを確認してから、さっそくテキストコピーを配りました。詩人ポール・ヴァレリー(1871〜1945)の若い頃の詩を集めた詩集「旧詩帖」を読んでいます。今学期はラスト近くの長めの詩篇「夕暮れの豪奢」「アンヌ」…

前期最終回

今日は、「夏」についてのホワイティングの注釈の残りを読み終え、最後にベルマン=ノエルの論文の内容に少しだけ触れました。結局7月の授業四回分ほどを「夏」の読みに費やしてしまいましたが、まだまだ謎は多く、消化不良感があります。しかし、こうした、…

今日は、「夏」をめぐるホワイティングの注釈の続きを読み、ついでに、1942年に、第三詩節と第四詩節のあいだに付加された六詩節分――ピエール=オリヴィエ・ワルゼールによれば「明快で美しい六詩節」、ホワイティングによれば「かなり凡庸な」六詩節――につ…

今日は、先週につづいて、1896年の詩篇「夏」の読みを、少しだけ進めました。第3詩節の第4行で登場する「浸透性のある夢のなかに連れ去られた少女」の肢体が、続く第4詩節で解剖学的に描写されます。この詩全体のイメージは、夏の海辺の立体的景色と波打ち際…

今日は、「夏」の第3詩節まで、読みました。「Vue」と同様、海をうたっていますが、やや複雑な味わいがあります。今日は、まず音の特徴に注意してみました。意味のほうは、イメージと合わせて、まだすっきりしない部分が残っていますが、これについては、諸…

今日は、「ヴァルヴァン」を、読みました。マラルメと関連する語彙が散りばめられ、まさにマラルメへの心からのオマージュに満ちた美しい佳品です。フォンテーヌブローの森の風、セーヌ川の水面に映る緑、そして光輝く夏空の青。川面を静かに進む小舟にのっ…

今日は、1896年の『サントール』誌に発表された二篇の詩(「Vue」と「夏」)のうちのひとつ「Vue」を、読みました。マラルメの「小曲」に倣ったのでしょうか、7音節14行(4+4+4+2)の形式を使って、おそらくは海の体験を描いた、これも一服のエクフラシス…

今日は、「挿話」を、読みました。6行目から10行目にかけて現れる「笛」の吹き手=「宝石の歯をした罪人」とは一体何者か、最初のうちはよくわからなかったのですが、何度か読み返して、イメージを探ると、どうやら、「蛇」(=「ファロス」)のイメージでは…

今日は、ホワイティングによる「ナルシスは語る」の注釈を、ざっと解説しました。同時に、作品を論じるときの基本的な作法として、比較の視点の重要性を強調させていただきました。ホワイティングの論文はフランス語によるものですが、用いる言語に関係なく…

先週は、アントワーヌ・コンパニョン先生の講演会にお集まりいただき、誠にありがとうございました。おかげさまで、とても充実した勉強の機会となりました。さて、今日は、「ナルシスは語る」の最後まで、読みました。主客のイメージが一体化する表現がでて…

今日は、「ナルシスは語る」の第6詩節の終わりまで、読みました。水鏡に映ったイメージとしてのナルシスと、それを眺めるナルシスとの、二人のナルシスの対峙が、次第に緊張感を帯びてきます。来週22日はアントワーヌ・コンパニョン先生の講演の準備のた…

今日は、前回の復習(とりわけマラルメの詩『エロディアード』とのintertextualite(間テクスト性)についてやや詳しく説明)をしたのち、ヴァレリーの詩「ナルシスは語る」の第2詩節の終わりまで、読みました。定型詩の約束事や修辞法の基本に触れながら、…

今日は、いよいよ「ナルシスは語る」のテクストの読みに入りました。もたげる疑問を大切にしながら、ゆっくり読んでいます。タイトル、エピグラフ(銘句)、それから最初の二行をめぐって、あれやこれや、考えてみました。意味ばかりでなく、音やイメージを…

今日は、先週のヴァレリー紹介記事の残りの部分を、ゆっくり読んでいるうちに、時間になってしまいました。ジッド宛てのヴァレリーの手紙にある自己分析のことば「私はあらゆる矛盾の幾何学的な場である」は面白い表現でした。ヴァレリーの詩や文章の特徴が…

開講しました!

本日、開講しました。初回の今日は、まず、『講義概要』にもとづいて、授業の内容や成績評価の方法を確認したのち、プリントを配付し、クラシック・ラルース版『魅惑』の冒頭部に記されたポール・ヴァレリーについての基本的な紹介記事を参照しながら、ヴァ…