水5フランス文学基礎講読

今日は、筆記試験を実施しました。これまで読んだ部分から出題した第一問は全般によく出来ています。第二問は実力問題です。第二問は辞書使用可でしたが、構文の知識などが身についていないと、しっかり訳すのは難しいはずです。出典はヴァレリーの講演「ボ…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』24番「計画」の最後まで、読みました。熱帯の海辺の小屋の描写は、何かの絵画を見ているような印象を受けましたね。ついでに、1857年の初出テクストをざっと見ました。最後の部分が明らかに異なっていました。さて、授…

今日は、「孤独」の注の残り――ラ・ブリュイエールとパスカルの引用文その他――を読み、『悪の華』所収のソネット「みみずくたち」をひととおり読み、最後に、「孤独」の次の散文詩「計画」に入り、17行目まで、読みました。「計画」は、夢想によって三つの場…

今日は、ボードレールの散文詩「孤独」の残り、そして、ロベール・コップによる注のうちp.309のラ・ブリュイエールの前まで、読みました。注のp.308に紹介されている1855年版のテクストと1864年の最終版テクストと比べると、だいぶ違っていることに気づきま…

今日は、「年老いた大道芸人」を読み終え、続いて、『パリの憂鬱』第23番の詩「孤独」に入り、34行目まで、読みました。博愛主義対孤独主義の対立を基軸に、一方的な言葉への嫌悪が感じられるように思います。来週は、本文の残りを読んだら、注のpp.308-309…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』の第14篇「年老いた大道芸人」の75行目まで、読みました。この散文詩の全体は89行ですが、「年老いた大道芸人」が登場するのは46行目以降です。つまり、前半は祭りの賑やかな明るさが、いわば、背景として、十分に描か…

今日は、『パリの憂鬱』から、2番「老女の絶望」と35番「窓」を読み、途中、12番「群衆」を紹介してから、15番の「老いた大道芸人」に入り、13行目まで、読みました。「窓」の17〜20行目は「群衆」で展開される詩人論に直接つながっています。ボードレールの…

今日は、ボードレールの韻文詩「小さな老婆たち」の残りを全部、読みました。第3部の三詩節は、散文詩の「寡婦たち」に出てくるシーンと同じでしたね。第4部は全体のまとめに当たるところです。最後から二つ目の詩節で詩人の「私」が老婆たちの人生を生きる…

今日は、ボードレールの『悪の華』所収の詩「小さな老婆たち」の続きを、40行目まで、読みました。24行目の「象徴symbole」というのは、老婆(の体)のことで、その象徴の具体的な解釈の例が、すぐあとに続く二つの詩節――一方は宗教的、他方は幾何学的な解釈…

今日は、ボードレールの韻文詩「小さな老婆たち」の20行目まで、読みました。最初に、詩の音節の数え方と脚韻について、ごく基本的な説明をしました。母音融合(シネレーズ)は覚えて下さい。さて、内容ですが、酷薄なように見えて、じつは、じつに愛情深い…

今日は、「寡婦たち」を最後まで、読みました。結局、孤独な老女と、子連れの高貴な女性と、どっちが悲しいのでしょうか。テクストを読む感じでは、明確なコントラストの表現が多く使われていることもあり、後者の悲惨さがより印象的でした。さて、次回(5月…

今日は、「寡婦たち」の49行目(p.130)まで、読みました。次回は残りを読みます。この第13篇と関係する詩篇(「悪の華」から「小さな老婆たち」、「パリの憂鬱」第2編「老女の絶望」と第35篇「窓」)のプリントを配付しました。「寡婦たち」を読み終えたら…

開講しました!

本日より、ボードレールの散文詩集『パリの憂鬱』と韻文詩集『悪の華』から、パリに関するさまざまな詩篇を読んでいきます。初回の今日は、『パリの憂鬱』冒頭の、書簡を兼ねた序文「アルセーヌ・ウーセイに」を読みました。ボードレールの散文詩の美学、そ…

前期最終回(筆記試験実施)

今日は、予定通り、筆記試験を実施しました。全般にまずまずの出来です。ボードレールの文章からの出題で、出来なかったところは、もう一度よく復習しておいてください。実力問題のほうは、比較的わかりやすい文章だったと思います。こちらは辞書利用可でし…

今日は、「英雄的な死」の最後まで、読み終えました。君主の嫉妬やファンシウールの矜持から、お小姓の小憎らしい感じに至るまで、リアルかつ知的な描写はリズムと緊迫感がありました。文句なしに面白い、短編小説的散文詩でした。さて、今期の授業用に用意…

今日は、『パリの憂鬱』の27番「英雄的な死」に入り、p.168の一番下(62行目)まで、読みました。全体で164行と長い散文詩で、ほとんど短編小説と言ってもいいくらいです。物語の展開→君主の人柄の描写→物語の展開→君主の心理の描写、と続き、63行目からは、…

今日は、「ビストゥリ嬢」の最後まで、読み終えました。リアルで活き活きした描写と知的な分析は、ボードレールのテクストの大きな魅力です。「こんな特殊な情念が君のうちに生まれた時期ときっかけを思い出せるかい?」と「私」が問うと、彼女は眼をそらし…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』の「ビストゥリ嬢」のつづきで、p.218の1行目le temps!まで、読みました。感嘆を表すcomme〜!(なんと〜であることか!)の用例がいくつか出てきました。辞書で用例を確認する癖をつけて、表現に慣れましょう。来週、…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』から、「綱」の残りを読み終え、続いて、47番「マドモワゼル・ビストゥリ」の読みに入り、p.216の19行目まで、読みました。冒頭部分の、感じた、聞こえた、見た、と矢継ぎ早に繰り出される感覚の劇的なサスペンスタッチ…

今日は、「綱」の続き、p.181の124行目まで、読みました。今日はいつもよりペースを上げ、およそ3頁分、進むことができました。物語の勢いが良いので、できれば最後まで読みたかったのですが、残念ながら時間が来てしまいました。それにしても、実話に基づい…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』から第35篇「窓」を読み、第12篇の「群衆」と似た詩人の想像力の冒険を味わったのち、第30篇「綱」の読みに入り、p.179の上から5行目まで、読みました。「母性愛」というのはごくありふれたものだが、自分は奇妙な母性…

今日は、「午前一時に」を読み終わり、第12篇「群衆」をひととおり読みました。群衆に湯浴みすることの詩学を語ったこの一篇、ラスト部分で、植民地の創設者とか世界の果てに派遣された宣教師とかのことが語られるのですが、素朴な感想として、それまでのと…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』の第10番、「午前一時に」の読みに入り、37行目まで、読みました。9番の「駄目なガラス屋」の「私」も理想・夢想や鬱屈・倦怠を感じながら自室にいましたが、この10番の「私」も深夜、今日一日のあれやこれやのくだらな…

今日は、「駄目なガラス屋」のテクストを最後まで、読みました。「花の鉢」が「私の戦いの武器」となってガラス屋を天罰のように垂直に襲います。ウーセイ宛の序文や、ウーセイの「ガラス屋の歌」を読んだあとで、この印象深いシーンについて改めて考えてみ…

今日は、ボードレール『パリの憂鬱』第9番「駄目なガラス屋」の後半に入り、p.120の74行目のところまで、読みました。相変わらず息の長い文が続きますが、文の骨格(主語名詞と述語動詞)をつかんで、残りの飾り部分、細部の関係を丁寧に読み解けば、全体が…

今日は、「駄目なガラス屋」の続きで、p.119の33行目まで、読みました。相変わらず息の長い文が連続しますが、めげずに、文の構造を追いかけてみてください。それと、綴り字の読み方がしっかり身についていないケースが時折目につきます。フランス語の発音の…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』の序文「アルセーヌ・ウーセイに」のテクストの残り部分を読んだのち、「駄目なガラス屋」の冒頭部5行目まで、ゆっくりと読んでみました。息の長い文があたりまえのように出てきますが、めげずに、粘り強く、読み解いて…

開講しました!

本日、開講しました。今日は、まず、『講義概要』をもとに、授業の内容と成績評価の方法などを説明したのち、さっそく、当面のあいだ読んでいく予定のテクストを配付しました。ボードレールの散文詩集『パリの憂鬱』から、短編小説のような面白さに満ちた詩…

最終回の今日は、p.1194の下から9行目まで、読みました。キレメのよいところで終わることはできませんでしたが、前回、百年に一度あるかないかという見事なキレメで終わりましたので、まあ、よしとしましょう。不定形なものをどのように描くか、というヴァレ…

今日は、新しい章「床と不定形なものについて」に入り、p.1193の下から7行目のqu'il aimait(「切れ目」のよいところ!)まで、読みました。今日読んだ中では、Des queを二つ用いた息の長い一文が、内容的にも重要な、じつに見事な文でした。色彩というもの…