火3『旧詩帖』を読む

レポート締切

今日はレポート締切日。授業に出席していた方々全員が、力作を提出してくださいました。これからじっくりと拝読させていただきます。まずは、レポートご苦労様のご挨拶まで。

最終回

最終回の今日は、ヴァレリーのソネット「鮮やかな火が……」を、1897年の「カイエ」のヴァージョンと比べながら読みました。眠りと目覚めのあいだの微妙な状態をコンパクトに描いた名品だと思います。最後のテルセの脚韻がmer(海)→merveille(「驚異」とか「…

今日は、「むなしい踊り子たち」を、ひととおり読んでみました。これがバレエの情景を指しているのではないかと推測することは、一読しただけでは難しいですね。プレイヤード版の註に紹介されている1942年版『詩集』掲載のヴァージョンでは、「闇」との対比…

今日は、「友情の森」をめぐるホワイティングさんの注釈を丁寧に追ってみました。ヴァレリーにおける友情のテーマはかなり重要で、ジッドやフルマンとの手紙がたくさん引用されていました。たとえば、p.90で引用されている1891年11月のジッド宛てのヴァレリ…

今日は、「友情の森」を読みました。動詞全体が過去形(複合過去と半過去)で語られる回想的詩篇です。「手と手をつないで」は、身体的現実ととるよりも、「並んで」の比喩ととるほうがいいかもしれません。並んで寝転がって星空を見上げるシーンがいいです…

今日は、「皇帝」のホワイティングさんによる解説を読みました。「力」なき「知」はない、という若い頃のヴァレリーのテーゼは、『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』のほか、たとえば、未刊の草稿「ボナパルト論」(短いメモのようなもの)にも展開が見ら…

今日は、『旧詩帖』の1926年版に初めて発表されたソネット「皇帝」のテクストをひととおり読みました。ホワイティングさんは、1893年3月22日付のジッド宛ての手紙の文言との共通点を根拠に、若い頃の作品であることは間違いないとしていますが、本当にそうな…

今日は、La Belle au bois dormant(1891年)のテクストをひととおり確認してから、Whitingの注釈を読みました。この詩が、Blancなどに典型的な「1890年の美学」(非現実・薄味淡麗志向)と、La Fileuseに典型的な感覚主義的リアリズムのちょうど半ばに位置…

今日は「眠りの森で」(1891年版の題名は「眠りの森の美女」)をひととおり読んでみました。ひたすら眠る姫の描写が、眠りを妨害して目覚めを誘発する可能性のあるものたちを列挙しながら行われています。第三&第四詩節でtes/taが出てきますが、これは…

今日は、まず、「水浴(する女)」の『旧詩帖』版と1892年版を比較し、表現の違っている部分を観察してから、ホワイティングさんによる解説にざっと目を通しました。解説の文章のなかで「hypallage代換法」という修辞学用語や「consonnes occlusives閉鎖子音…

今日は「水浴」(あるいは「水浴する女」)のテクストをひととおり最後まで読んでみました。泉の丸い水面のイメージ、そこに映る青空や森のイメージ、アップに巻いて結った豊かな金髪のイメージ、うなじと首のイメージ、などなど。詩の言葉から活き活きとし…

開講しました!

お久しぶりです。本日、後期授業の開講です。今日は、初めての方もいらっしゃるので、概要や成績評価の仕方などを説明し、前期に読んだ詩篇の復習を簡単に行いました。また、これから読むテキストや解説プリントをお配りしました。さっそく、「水浴」(とい…

前期最終回の今日は、1890年発表のソネット「白」(のち「妖精の国」と改題)と、ホワイティングさんによる解説をすべて、読みました。1890年のヴァレリーの美学が、感覚の薄味(どぎつさのない感じ)による純粋の追求にあることが、この時期の12篇の詩への…

今日は、1890年の「海から現われ出る女」をひととおり読んでから、ホワイティングの注釈を読みました。詩の解説は難しい作業ですが、同じ作家の別の作品との比較(特に似たテーマを扱った作品との比較)や、同じ作家の別の散文テクスト(手紙や日記など)と…

今日は、先週の残りの部分(成熟期のヴァレリーの詩学をまとめたところ)をざっと説明してから、第4番目の詩「ヴィーナスの誕生」を、ひととおり読みました。イメージが定まらないところがいくらか残りましたが、無理に急ぐ必要はまったくないので、とりあえ…

レポート課題をアナウンスしました

今日は、「オルフェウス」をめぐるホワイティングさんの注釈のうち、p.47からp.50まで、論の展開を丁寧に追ってみました。論文を読むのは結構疲れますが、documentation(引証=証拠資料の提示)の手際や、問題意識の流れを観察すると、いい勉強になります。…

今日は、1926年版のソネット「オルフェウス」を、ひととおり読みました。3行目のauguste tropheeですが、おそらく、ローマ皇帝アウグストゥスの戦勝を記念した有名な遺跡trophee d'Augusteへの参照があるだろうと思います。音的には第一tercetのche(シュ)…

梅雨入り

今日は、まず、「エレーヌ」のコマンテールの残りをざっと説明したのち、「オルフェウス」の1891年のテクストをひととおり読みました。ヴァレリーのギリシャ好みを語るならば、「エレーヌ」よりは「オルフェウス」のほうがより適切でしょう。建築と音楽の一…

今日も「エレーヌ」の続きです。先回、ひととおり読みましたが、今回は、「紡ぐ女」に続いて「音節計算」の練習をしてみました。アレクサンドランはとにかく(行末の無音のeを除いて)合計12音節になればよいわけです。合計12になるように、「母音融合」…

今日は、二番目の詩「エレーヌ」を読みました。ソネットです。一番目の詩「紡ぐ女」がかなり難しい詩であったのに比べると、こちらはとてもシンプルな感じがします。今日は、構文や語彙を確認しながら、ひととおり、意味とイメージを追ってみました。「紡ぐ…

今日は、「紡ぐ女」についてのホワイティングさんの解説を、ざっとかいつまんで紹介しました。全体に醸し出されているイメージは非現実的ですが、個々に使われている単語や個別の感覚的なイメージはきわめて現実的です。こうした感覚主義的リアリズムとでも…

「紡ぐ女」の続きをひととおり読みました。韻文詩は脚韻の要請から大胆な倒置構文がとられることがよくあります。基本的に、統辞関係がつかめれば、そう難しいことはありません。これも慣れです。さて、今日読んだところでは、第3節と第4節がいわば夢のピー…

今日は、「紡ぐ女」の読みに入り、最初の二節分だけ、イメージを追ってみました。その前に、基本的な作業として、アレクサンドラン(十二音節詩句→Le Grand Robertに載っているレイモン・クノーの例文はじつに面白いです)の音節のカウント練習をしてみまし…

開講しました!

本日、開講です。学部の各論と大学院の特論の合併授業です。今年度は、ヴァレリーの青年期の詩篇を集めた『旧詩帖』を読みます。1890年代にいろいろな雑誌に発表したものを、後年、多少なりとも手を入れて、1929年に決定版が出た詩集です。そのため、初出誌…