2012-01-01から1年間の記事一覧

今日は、p.1261の上から4行目まで、読みました。ヴァレリーのテクストの書き方、というか、一般に、フランスの作家のテクストの書き方には、一定の基本的な作法のようなもの(基本的な作文テクニックというか作文レトリックのようなもの)があって、シンメト…

今日は、ややゆったりめに前回の復習をしたのち、第6詩節(セクションでいうと第3章)を、読みました。結局、son regardのsonやil adoreのilは、「太陽=神」と採っても、「不動の人間=私」と採っても、どちらでも解釈可能であることがわかりました。という…

開講しました!

本日、開講しました。最初に授業内容、成績評価の方法を説明したのち、さっそく授業に入りました。今回は、「私」の「時間」が濃密に描かれる現代的な文学の始まりとしてジャン=ジャック・ルソーの自伝『告白』と『孤独な散歩者の夢想』から、ヴァラン夫人…

開講しました!

本日、開講しました。前期に引き続き、今期もヴァレリーの「レオナルドと哲学者たち」を読んでいきます。今日は、p.1259の一番下まで、読みました。レオナルドにとって絵画こそが哲学であったというくだりです。夏休み中に少しだけパリの国立図書館に寄って…

開講しました!

本日、開講しました。授業内容、評価の方法などを確認してから、さっそくテキストコピーを配りました。詩人ポール・ヴァレリー(1871〜1945)の若い頃の詩を集めた詩集「旧詩帖」を読んでいます。今学期はラスト近くの長めの詩篇「夕暮れの豪奢」「アンヌ」…

前期最終回(筆記試験実施)

今日は、予定通り、筆記試験を実施しました。全般にまずまずの出来です。ボードレールの文章からの出題で、出来なかったところは、もう一度よく復習しておいてください。実力問題のほうは、比較的わかりやすい文章だったと思います。こちらは辞書利用可でし…

前期最終回

今日は、ヴァレリーの「レオナルドと哲学者たち」のp.1258の一番下まで、読みました。一応区切りのよいところと思います。凝った並列構文を多用するヴァレリーの文章も、慣れてくると、リズムと味わいがあります。結局、プレイヤード版で全36ページ中、前…

前期最終回

今日は、「夏」についてのホワイティングの注釈の残りを読み終え、最後にベルマン=ノエルの論文の内容に少しだけ触れました。結局7月の授業四回分ほどを「夏」の読みに費やしてしまいましたが、まだまだ謎は多く、消化不良感があります。しかし、こうした、…

今日は、「英雄的な死」の最後まで、読み終えました。君主の嫉妬やファンシウールの矜持から、お小姓の小憎らしい感じに至るまで、リアルかつ知的な描写はリズムと緊迫感がありました。文句なしに面白い、短編小説的散文詩でした。さて、今期の授業用に用意…

今日は、p.1257の下から17行目まで、読みました。言葉と哲学者の関係が、関係代名詞を用いて説明を展開していく構文や、同格表現をいくつも並べていく構文を用いて、うねるように書かれています。こういう息の長い文がえんえんと続くと、読む側もかなり疲れ…

今日は、「夏」をめぐるホワイティングの注釈の続きを読み、ついでに、1942年に、第三詩節と第四詩節のあいだに付加された六詩節分――ピエール=オリヴィエ・ワルゼールによれば「明快で美しい六詩節」、ホワイティングによれば「かなり凡庸な」六詩節――につ…

今日は、『パリの憂鬱』の27番「英雄的な死」に入り、p.168の一番下(62行目)まで、読みました。全体で164行と長い散文詩で、ほとんど短編小説と言ってもいいくらいです。物語の展開→君主の人柄の描写→物語の展開→君主の心理の描写、と続き、63行目からは、…

今日は、p.1255の下から3行目まで、読みました。p.1254の中ほどの、「世界」を思い浮かべるのがますます難しくなっているというくだりは、構文が少し込み入っていましたが、けっして無用な難解さではなく、明晰な表現の要請から必然的に決まった複雑さという…

今日は、先週につづいて、1896年の詩篇「夏」の読みを、少しだけ進めました。第3詩節の第4行で登場する「浸透性のある夢のなかに連れ去られた少女」の肢体が、続く第4詩節で解剖学的に描写されます。この詩全体のイメージは、夏の海辺の立体的景色と波打ち際…

今日は、「ビストゥリ嬢」の最後まで、読み終えました。リアルで活き活きした描写と知的な分析は、ボードレールのテクストの大きな魅力です。「こんな特殊な情念が君のうちに生まれた時期ときっかけを思い出せるかい?」と「私」が問うと、彼女は眼をそらし…

今日は、「レオナルドと哲学者たち」の続きで、p.1254の13行目まで、読みました。言語や知だけでは十分でなく、あらゆる物質的方法を活用して、知を外的に検証可能なものとする力を持つレオナルドは、現代科学の直接の祖であるとヴァレリーは述べ、以下、知…

今日は、「夏」の第3詩節まで、読みました。「Vue」と同様、海をうたっていますが、やや複雑な味わいがあります。今日は、まず音の特徴に注意してみました。意味のほうは、イメージと合わせて、まだすっきりしない部分が残っていますが、これについては、諸…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』の「ビストゥリ嬢」のつづきで、p.218の1行目le temps!まで、読みました。感嘆を表すcomme〜!(なんと〜であることか!)の用例がいくつか出てきました。辞書で用例を確認する癖をつけて、表現に慣れましょう。来週、…

今日は、p.1252の下から10行目のmentale.まで、読みました。レオナルドは単なる知では満足しません。あらゆる物質を用いて、知(アイデア)を、実際の形にしようとします。物質と知との緊密なやりとりを描いたp.1252の真ん中部分の記述は、対話篇「ユーパリ…

今日は、「ヴァルヴァン」を、読みました。マラルメと関連する語彙が散りばめられ、まさにマラルメへの心からのオマージュに満ちた美しい佳品です。フォンテーヌブローの森の風、セーヌ川の水面に映る緑、そして光輝く夏空の青。川面を静かに進む小舟にのっ…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』から、「綱」の残りを読み終え、続いて、47番「マドモワゼル・ビストゥリ」の読みに入り、p.216の19行目まで、読みました。冒頭部分の、感じた、聞こえた、見た、と矢継ぎ早に繰り出される感覚の劇的なサスペンスタッチ…

今日は、p.1251の上から4行目まで、読みました。音の感覚や色彩感覚と同様に観念感覚というものがあり、音楽家や画家になる才能と同じように哲学者になる才能というものもあり、今や、哲学者の才能を持つ人は、真理やら実在やらの追求ではなく、観念の秩序を…

今日は、1896年の『サントール』誌に発表された二篇の詩(「Vue」と「夏」)のうちのひとつ「Vue」を、読みました。マラルメの「小曲」に倣ったのでしょうか、7音節14行(4+4+4+2)の形式を使って、おそらくは海の体験を描いた、これも一服のエクフラシス…

今日は、「綱」の続き、p.181の124行目まで、読みました。今日はいつもよりペースを上げ、およそ3頁分、進むことができました。物語の勢いが良いので、できれば最後まで読みたかったのですが、残念ながら時間が来てしまいました。それにしても、実話に基づい…

今日は、「レオナルドと哲学者たち」p.1249の上から15行目まで、読みました。粗雑な偶像から美しい偶像へと大きく変革した古代彫刻史の例を引きつつ、ヴァレリーは、伝統的な哲学が「粗雑」であり、新たな哲学は、態度を改めて、美しい言語芸術へと変革しな…

今日は、「挿話」を、読みました。6行目から10行目にかけて現れる「笛」の吹き手=「宝石の歯をした罪人」とは一体何者か、最初のうちはよくわからなかったのですが、何度か読み返して、イメージを探ると、どうやら、「蛇」(=「ファロス」)のイメージでは…

今日は、ボードレールの『パリの憂鬱』から第35篇「窓」を読み、第12篇の「群衆」と似た詩人の想像力の冒険を味わったのち、第30篇「綱」の読みに入り、p.179の上から5行目まで、読みました。「母性愛」というのはごくありふれたものだが、自分は奇妙な母性…

今日は、p.1247の上から8行目まで、読みました。哲学者は言語芸術家である。哲学者は概念の操作をしているときに、まさに、創造をしているのだ。ヴァレリーはそう考えます。そういう認識を持てない哲学者をヴァレリーは批判します。とりわけ、パスカルに対す…

今日は、ホワイティングによる「ナルシスは語る」の注釈を、ざっと解説しました。同時に、作品を論じるときの基本的な作法として、比較の視点の重要性を強調させていただきました。ホワイティングの論文はフランス語によるものですが、用いる言語に関係なく…

今日は、「午前一時に」を読み終わり、第12篇「群衆」をひととおり読みました。群衆に湯浴みすることの詩学を語ったこの一篇、ラスト部分で、植民地の創設者とか世界の果てに派遣された宣教師とかのことが語られるのですが、素朴な感想として、それまでのと…