水4フランス文学基礎講読

最終回の今日は、予定通り、筆記試験を実施しました。読解を終えた三篇からほぼ満遍なく、物語の展開において鍵となるようなシーンを中心に、また、構文が重要だったり少し入り組んでいたりするものを中心に出題しました。授業をずっと受けてきて、ひと通り…

今日は、シュオブの短篇「大地炎上」をラストまで、無事読み終えることができました。終末論的な描写ですが、異様な美しさだったように思います。さて、これでシュオブの三つの短篇を読了したことになります。いずれも読み応えのある秀作だったと思いますが…

今日は、「大地炎上」の続きを、p.264の真ん中の点線のところまで、読みました。シュオブは色彩豊かな描写が特徴的です。また、場面によっては専門的な用語も出てきます。今後、長くフランス語の文章に接することが予定されている方々は、そろそろ、初級用の…

今日は、新たな短篇「大地炎上」のテクスト読解に入り、p.263の真ん中あたり、「そうして夜は過ぎ……」の段落の終わりまで、読みました。終末論的、黙示録的なヴィジョンが、想像力を活き活きと刺激する表現によって描き出されます。あと二回で読み終える予定…

今日は、シュオブの短編「骸骨」のラストまで、読み終えました。骸骨のトム・ボビンズは怖くないが、肉と骨をもったトム・ボビンズは恐ろしいという、通常とは逆の、この転倒性が、じつに巧みなおかしみを産み出している、濃密な一篇でした。来週は休講です…

今日は、シュオブの短編「骸骨」の続きを、p.127の上から11行目まで、読みました。骸骨のトム・ボビンズが次第に人間に、元の生きた人間に戻っていく様子を見て、「私」は恐怖に捉えられます。普通の幽霊小説とはまったく逆の、この転倒性が、この短編の怖さ…

今日は、シュオブの短編「骸骨」の続きを、p.126の上から9行目まで、読みました。骸骨のトム・ボビンズのひとりごとはなかなか滑稽です。二度目の言及となった「左目によるウィンク(左目をぱちぱちさせること)」ですが、やはり、何かありそうな表現です。…

今日は、シュオブの短編「骸骨」の続き、p.125の上から6行目まで、読みました。トム・ボビンズが骸骨であることを認識するに至るまでの観察的記述が滑稽な効果を産んでいます。またp.125一番上の3行はいかにも古典劇に出てきそうな12音節詩句を模したセリフ…

今日は、シュオブの短編「骸骨」の読みに入り、p.124の11行目まで、読みました。幽霊屋敷の物語の、ありがちな紋切り型表現が、次々と否定されていくところは痛快です。ちなみに「イチイの木 ifs」は、キリストが磔刑に処せられた十字架の材料になったとされ…

今日は、シュオブの短編「018号列車」のラストまで、読みました。あれこれと謎の部分は残りますが、全体の表現技巧と物語の現代性(分身・鏡像・幽体離脱・幻影・ファンタジー……)はよく感じ取れたのではないでしょうか。基本的な枠組みとしてはエドガー…

今日は、シュオブの短編「018号列車」の続き、p.78の真ん中あたり、「赤い霧のうえに、私はそうして見たのだ、グラルポワの影が浮かび上がるのを。」まで、読みました。ついに、事件の夜が語られます。シュオブの使うティレの効果をよく味わいましょう。…

今日は、シュオブの短編「081号列車」の続き、p.77の下から16行目まで、読みました。p.77の〈Les voyageurs〉で始まる段落全体はいかにもシュオブ的な文章のテクニックが光っている部分だと思います。効果のポイントはずばり「rouge」です。四回反復され…

今日は、マルセル・シュオブの短編「081号列車」を、p.76の下から12行目まで、読みました。次第に事件の夜が近づいてきます。語りの時制は大過去が多いですが、これは事件の夜という過去を基準にして、その前までにすでに起こっていた事柄を記述している…

開講しました!

19世紀末象徴主義の時代に活躍した文人マルセル・シュオブの短編小説を読む授業です。シュオブの計算され尽くした文章には隙(スキ)がありません。まじめに読み込めば、必ず何かを返してくれる、そんな読み応えのある文章です。今日は短編集『二重の心』か…

今日は、予定通り、筆記試験を実施しました。やや分量が多かったかもしれず、お疲れ様でした。しかし、一応、シュオブの傑作短篇小説『少年十字軍』の全8章の抜粋を順番通りに並べましたので、物語の全体を復習する機会にもなったのでは、と思います。答案を…

今日は、シュオブの短篇小説『少年十字軍』の最終章を読み終え、全体を読了しました。素晴らしい作品でしたね。同時代のジャリやグールモンといった作家が絶賛し、後年の大作家ボルヘスがスペイン語に翻訳するほどに愛誦したこの作品を、私たちもまた、毎週…

今日は、シュオブ『少年十字軍』の第7章「小さなアリスの語り」の全部と第8章「法王グレゴリウス9世の語り」の前半部(p.502の9行目)まで、読みました。アリスの素朴な語りは、それだけで哀切ですが、最後の部分で語りの人称が1人称から3人称に変わるところ…

今日は、シュオブ『少年十字軍』の第6章「カランダールの語り」を読みました。イスラム教徒から見た「子供たちの純粋性」の報告です。カランダールが目撃した子供たちの群れの中に、目の見えない子とその子の手を引く少女の姿がありました。第4章に出てきた…

今日は、シュオブ『少年十字軍』の第5章「書生フランソワ・ロングジューの語り」の全文を読みました。量的には短い章でしたが、文体が擬古文調で、古語表現や堅い言い回しなどが出てきて、結構、読み応えがありましたね。494頁の下のほうの、ヒトデをめぐる…

今日は、シュオブ『少年十字軍』の第4章「三人の子供の語り」を読みました。第3章の教皇インノケンティウス三世の時に難しい語りと比べると、第4章の少年の語りはとても素朴ですが、素朴であるがゆえの哀切さが感じられました。今日は少し時間が余りましたの…

今日は、シュオブの短篇『少年十字軍』の第3章「教皇インノケンティウス三世の語り」の最後まで、読みました。神への公式な語りから再びtutoyerの語りに戻り、教皇はみずからの切実な問いを発します。無垢な子供たちの十字軍は果たして奇跡なのか、教えてほ…

今日は、シュオブの短篇小説『少年十字軍』の第3章の続き、p.490の上から12行目まで、読みました。神に対する教皇の語り掛けが、プライベートなtuから、オフィシャルなvousへと変わり、語られる内容も聖書や伝説へのレフェランスが多くなりますが、最後の段…

今日は、マルセル・シュオブの短篇小説『少年十字軍』の第三章の第三段落の途中(p.489の20行目)まで、読みました。語り手の教皇インノケンティウス三世が自らの苦しい胸の内(自分自身への忸怩たる思い)を吐露した部分(p.489の2〜6行目あたり)がなかな…

今日は、『少年十字軍』の第1章の終わりと第2章の本文をすべて、読みました。第2章の語り手は去年読んだ「黄金仮面の王」と同じ病を患っている者ですが、前半の呪詛が後半の物語によって見事に相対化されます。主キリストと同じ、白いお方であるあなたをなぜ…

今日は、『少年十字軍』第1章に当たる「ゴリヤールの話」に入り、テキストp.484の下から10行目まで、読みました。奇跡の光景を目にしたゴリヤール(乞食僧)が喜びと春の陽気に浮かれて、とりとめのない(脈絡のない)話をするのですが、その素朴な感じが、…

今日は、『少年十字軍』の本文に入る前に、グードマールによる解説文と、冒頭のラテン語のフランス語訳を読みました。初級文法では、歴史や物語の過去時制である「単純過去形」はあまり親しむ時間がなかったと思いますので、今日は、慣れの意味も込めて、や…

開講しました!

マルセル・シュオブの短篇小説『少年十字軍』を読んでいく授業です。第一回、導入の今日は、成績評価の方法などについて触れたのち、さっそくテクストコピーを配付し、この小説の源泉となった史実(1212年に実際に起こった事件)、作品の形式(複数の語り手…

今日は、予定通り、筆記試験を実施しました。いざ日本語にせよと言われると、なかなか言葉が出てこないということは実感されたと思います。個々の語彙力も大事ですが、肝心なのは、全体のイメージをつかむ力、それをわかりやすく伝える表現力です。この表現…

今日は、マルセル・シュオブの短篇小説「オジーグの死」を最後まで、読みました。命が生きる世界へのピチエ(憐憫の情)という言葉が本文に何度か出現しましたが、自らの死によって世界を救うオジーグはキリストに似た存在のように思われます。わずか6頁半…

今日は、「黄金仮面の王」の次の短篇小説「オジーグの死」の続きを、p.23の真ん中少し下あたりまで、読みました。この物語は同時代の作家ロニーに献呈されていますが、実際、このSF仕立ての短篇は、近代SFの祖のひとりとされるロニーへの一種のオマージュに…