今日は、先週につづいて、1896年の詩篇「夏」の読みを、少しだけ進めました。第3詩節の第4行で登場する「浸透性のある夢のなかに連れ去られた少女」の肢体が、続く第4詩節で解剖学的に描写されます。この詩全体のイメージは、夏の海辺の立体的景色と波打ち際で横になって眠っている女の情景の窃視的エクフラシスですが、飛び交うリビディナルな力線の錯綜の密度と強度が強く、単純なイメージへの還元は到底不可能な、多元決定的テクスト場となっています。今日は、きわめて律儀で誠実なホワイティングさんの注釈を、p.110の14行目まで、読みました。来週は、注釈の残りを読み終えたら、精神分析的読解の優れた成果である、ジャン・ベルマン=ノエルの1979年の長大な論文の要約を試みたいと思います(たぶん失敗すると思いますが、試みることには意義があると思い、準備する所存です)。では、また来週。