2007-01-01から1年間の記事一覧

今日はフローベール『感情教育』を取り上げました。アルヌー夫人宅からの深夜の帰り道、フレデリックがセーヌ川にかかるポン・ヌフ橋のうえで高揚する場面(空気を大きく吸い込んで、希望に満ちた可能態になりきる幸福なシーン)に特に注目しました。この場…

第4回

今日は前回配ったプリントの3番とp.13のディクテを片付け、基数の1から10まで(次回までに3秒で言えるように!)の練習とp.25のリエゾン・アンシェヌマン・エリジヨン・有音と無音のhを説明してから第4課に入りました。-er動詞の活用練習をして練習問題の1を…

今日はp. 57の1行目まで読みました。前回のところで参照されていたブランショの『文学空間』の一節とリクールの『解釈学試論』の一節を担当の方に紹介してもらいました。やはり、こうして、バルトの参照指示に従ってテクストの周辺を散歩すると、参照された…

まず前回のおさらいをしてから第11課の残りを読み、練習問題を片付けました。ボーヴォワール橋はアルザスにあるエッフェル社の工場から水路で(ロッテルダムまでライン川、ル・アーヴルまで北海と英仏海峡、パリまでセーヌ川をemprunterして)運ばれたとあり…

今日は、まず前回とのつなぎの意味で、フローベールの散文詩学あるいは純粋小説の考え方がうかがえる書簡テクストを紹介し、同時に、工藤庸子先生の『恋愛小説のレトリック――『ボヴァリー夫人』を読む』(1998年、東大出版会)から、言葉の物質性のレアリス…

第3回

まずetreとavoirの練習問題プリントを配って解いてもらいました(全部で30問)。やはりたくさん練習すると知識がすっきり整理されてきますね。残りの第3問(不定冠詞と定冠詞の使い分け)は次回片付けます。今日は練習問題でかなり時間を使いました。急いでp…

今日はp.55の2行目(脚注1の途中)まで読みました。1960年代に進行する知的言説の質的転回は、中世からルネッサンスへの移行で生じた注釈の質的転回と同じくらい重要だとバルトは言います。これはおそらくスコラ的・アレゴリー的聖書読解から原典主義的・意…

今日は第11課に入り、p. 43の2行目まで読みました。2006年に出来たボーヴォワール橋は、ベルシー橋とトルビアック橋のちょうど真ん中あたりにあるようです。今度パリに行くときは、是非、この橋を渡ってみたいものです。それから、文中にもありましたが、歩…

今日は先週の続き。まず、阿部良雄先生の見事な指摘(『シャルル・ボードレール 現代性の成立』河出書房新社、1995年、pp. 296-299)を紹介しました。ボードレールvsウーセイの対立図式が、シャンフルーリvsウーセイの変奏であること、そして「『無能なガラ…

第2回

今日はまずアルファベと第1課の復習をしてp.9の練習問題を片付けました。この授業ではとにかく発音に力を入れています。amourのou、courageのouは思いっきり「ウー」ですよ。続いて、第2課に突入。etreとavoirの活用を説明、練習しました。エートルとアヴォ…

今日はp. 52の下から5行目まで読みました。批評はエクリチュールの行為である。言語という対象と厳しく対峙する点において、批評家と作家の区別はない。作家は「立派な創造者」で批評家は「謙虚な下僕」だ、などという古い神話は、批評によってだけでなく、…

開講しました

教科書は前期と同じです。前期は9課まで進みましたので、後期は10課から始めます。今日は、まず、成績評価の仕方と今後の日程を説明した後、ミニットペーパーに皆さんの目標を書いていただき、動機を確認してから、さっそくテキストに突入。p. 39の5行目…

開講しました

後期のフランス文学概論が始まりました。まず予定表を配って、授業の見通しを説明しました。今週と来週は、ボードレールの『パリの憂鬱』から「駄目なガラス屋」を読み、このテクストをめぐる間テクスト的散歩をします。今日は、「駄目なガラス屋」の本文を…

開講しました

「2セメからはじめるフランス語」今日からスタートしました。新しいlangue(言語=舌づかい)の世界にようこそ。まず、自己紹介カードに動機(到達目標)などを書いていただきました。モチベーションが高い人が多くて、頼もしい限りです。それから、自習用CA…

開講しました

お久しぶりです。後期授業が始まりました。というわけで、この授業日誌も再開です。現在、文学研究科の建物が耐震工事中のため、後期は、総合棟10階の経済学部21番教室を借りての授業となります。よろしくお願いします。 今日は、前期のポイントを復習してか…

文章の安定ということ

仙台は例年になく暑い日が続いていますが、皆さん、元気でお過ごしでしょうか。暑い暑いと言っているうちに、どんどん時間が過ぎていきます。猛暑も明日あたりから一段落して、平年並みという予報。当たってほしいものです。さて、皆さんから提出していただ…

レポート締切は8月3日です 

前期の授業が終わって、しばらく、この日誌にご無沙汰しました。授業がない間は「授業日誌」を書く必要もないわけですが、授業に関係した事柄については、時々、書くことにしたいと思います。水5仏文概論と火3バルトのレポート締切が8月3日(金)午後5…

今井勉のホームページが出来ました!

このたび、ようやく、私のオフィシャルホームページが出来ました(→今井勉のホームページ)。左のリンク集にも追加しました。まだ始めたばかりなので、殺風景ですが、これから、少しずつ、内容を充実させていくつもりです。「授業資料」も、このホームページ…

最終回

まず、先週やった期末テストの答案コピーを返却し、解説しました。次に、大学が行う授業評価アンケートに答えていただいた後、ついでに、4月12日にミニットペーパーに書いてもらった「動機と抱負」を返却して、その余白に、本日7月19日の達成状況や反…

人文社会総論

5コマ目、1年生の人文社会総論。今日は仏文の割当日で、私が担当しました。今回は、フランス語圏文芸の紹介と銘打って、クレオール文化論の実際を、テクスト(セゼール、ファノン)、映像(『マルチニックの少年』)、音楽(カリ)を通して、少しだけ紹介す…

最終回

ヴァレリーのエッセイ『ヴェルレーヌの通過』を読みました。若い頃、リュクサンブール公園近くのゲイ=リュサック街に住んでいたヴァレリーは、数学者ポワンカレと詩人ヴェルレーヌの通過を描いて、それぞれの人物のために語彙を選び、それをそれぞれの宇宙…

最終回

pp.37-45を急ぎ足で説明しました。旧批評の最後の砦「文学の特殊性」という命題に対するバルトの批判です。文学は文学だというトートロジーに自閉し、コトバの検閲・禁止による自縄自縛によって、自分自身が沈黙せざるを得ない旧批評の貧しさ。「旧批評家は…

期末テスト実施

期末試験、お疲れ様でした。教科書からの問題、実力問題とも、全般に、よく出来ています。でも、まだ、ごく一部ですが、関係代名詞のquiの使い方を覚えていない人がいます(中間テストのときも、毎回の授業でも、いつも、よく出てくるので、確認していたはず…

最終回

スタンダールの『赤と黒』についてM君に、アレクサンドル・デュマ(ペール)の『三銃士』についてS君に、それぞれ発表していただきました。『赤と黒』のジュリアンのボナパルト的なところと最終的な魂の救済を願うところには、彼の愛読書がルソーの『告白』…

発表(3)

都市をめぐる文学について、今日は発表の三回目。まず、M君が、都市が生み出す「怪異」、という題で、『日本霊異記』『今昔物語集』『雨月物語』から怪談をいくつか引いて、怪異譚の発生の背景を探ってくれました。都市(とりわけ平安京)における怪異発生…

p. 36の下から9行目まで読みました。旧批評の金科玉条である「明晰」に対するバルトの批判の続きです。今日読んだところでは、とりわけp. 34の皮肉たっぷりの文章がユーモラスでした。「どうして物事をもっとシンプルに表現しないのか」という旧批評からの批…

美術館のルパン

第7課を読みました。お金のためでなく、純粋な絵画鑑賞の快楽のためだけに、7年間で230点の絵やオブジェを、ヨーロッパ中の美術館から盗んだ男の話。本当の泥棒は画商の連中だ、だって、奴らは1万ユーロで買った絵を10万ユーロで転売するのだから、とか、盗…

第十二回19世紀(2)

ユゴーについて二つ、ミュッセとバルザックについて一つずつ、今日は合計四人の方々に発表をしていただきました。ユゴーの『レ・ミゼラブル』が骨太な社会小説であることを具体的に指摘してくれたNさん、『クロムウェル』序文のロマン主義宣言(理論)が『…

発表(2)

今日も熱い発表が二つ。まずS君による川端康成『古都』における京都の表象の分析。所与の条件に逆らわず生きていく登場人物たちのあり方が、京都という都市の「盆栽」的な自己完結性をなぞるかたちになっているという指摘は、ギラギラしたパリ小説を眺めて…

「明晰」という神話の解体を試みた部分、p.33の14行目まで読みました。普遍フランス語という神話は現代言語学によって解体されたこと(フランス語の論理性は他の言語と比べて上でも下でもないこと)がp.30で語られた後、フランス人の「国民的病気」としての…