発表(2)

 今日も熱い発表が二つ。まずS君による川端康成『古都』における京都の表象の分析。所与の条件に逆らわず生きていく登場人物たちのあり方が、京都という都市の「盆栽」的な自己完結性をなぞるかたちになっているという指摘は、ギラギラしたパリ小説を眺めてきたわたしたちにとって、新鮮な和食感覚を与えてくれました。続いて、もうひとりのS君による、19世紀末サロメ伝説をめぐる美術と文学の濃密な間テクスト性を探った発表。ギュスターヴ・モローユイスマンスを軸に、フローベールボードレールマラルメ、ワイルド、ビアズリーといった人たちが作り出すサロメコネクションの相互乗り入れの様子を、具体的な絵画やテクストに基づいて丁寧に説明してくれました。いずれの発表も、前回に続いて、ハイレベル。というわけで、この授業も、みなさんの発表に入ってから、俄然、ボルテージが上がってきました。次回のお二人も、この勢いで、どうぞよろしく。