火5パリ文学散歩

最終回

ヴァレリーのエッセイ『ヴェルレーヌの通過』を読みました。若い頃、リュクサンブール公園近くのゲイ=リュサック街に住んでいたヴァレリーは、数学者ポワンカレと詩人ヴェルレーヌの通過を描いて、それぞれの人物のために語彙を選び、それをそれぞれの宇宙…

発表(3)

都市をめぐる文学について、今日は発表の三回目。まず、M君が、都市が生み出す「怪異」、という題で、『日本霊異記』『今昔物語集』『雨月物語』から怪談をいくつか引いて、怪異譚の発生の背景を探ってくれました。都市(とりわけ平安京)における怪異発生…

発表(2)

今日も熱い発表が二つ。まずS君による川端康成『古都』における京都の表象の分析。所与の条件に逆らわず生きていく登場人物たちのあり方が、京都という都市の「盆栽」的な自己完結性をなぞるかたちになっているという指摘は、ギラギラしたパリ小説を眺めて…

発表(1)

受講生の皆さんによる、都市の文学をめぐる発表の第一回。今日はまず、男性のS君が井原西鶴『世間胸算用』について、当時の社会状況が鮮やかに描かれている点に触れたあと、人情話の側面が際立つ「小判は寝姿の夢」の特異性を指摘し、その背景として、西鶴自…

来週からの皆さんによる発表を前に、今日は、「パリ文学名場面集」と勝手に題して、三つの有名な情景を小走りに眺めました。まず「野心」。バルザック『ゴリオ爺さん』のラストシーン、ラスティニャック君がペール・ラシェーズ墓地の高みから上流社交界地帯…

今日は、まず、今後の授業の予定についてお知らせし、都市の文学をめぐる研究発表の割り当てを行いました。6月26日、7月3日、7月10日に、それぞれ二人ずつ、発表していただきます。人文社会総論のレポート作りと重なって大変かとは思いますが、こちらもよろ…

駐日フランス公使プノ氏講演「欧州連合―フランスからの視点」を聴く

今日は、講演会を聴きました。東北大学創立百周年記念事業を兼ねた講演会ということで、多くの方々が来ていらっしゃいましたね。ところどころ眠くなってしまう部分もありましたが、トルコの加盟問題に話題が向いたときだけは頭が覚醒しました。さすが外交官…

フロベールの『感情教育』におけるパリの続きです。まず、ゾラの『獲物の分け前』冒頭との間テクスト性の実例をS君が、次に、印象派絵画におけるバルコニーの主題の実例を、もうひとりのS君が発表してくれました(カラーコピーありがとう)。いずれも見事…

四回かけてボードレールの『駄目なガラス屋』を間テクスト的に読みました(ウーセイとの対比・ポウの影響・マラルメやヴァレリーへの影響)。続いて、フロベールの『感情教育』のパリを読み出して二回が過ぎました。小倉孝誠さんの本(『感情教育』歴史・パ…