文章の安定ということ

 仙台は例年になく暑い日が続いていますが、皆さん、元気でお過ごしでしょうか。暑い暑いと言っているうちに、どんどん時間が過ぎていきます。猛暑も明日あたりから一段落して、平年並みという予報。当たってほしいものです。さて、皆さんから提出していただいた概論レポート、全部で20本、ひととおり読ませていただきました。10分間発表に加えて4000字のレポート、少々ヘビーだったかと思いますが、さすが、皆さん、力作揃いでした。
 優秀作をここでご紹介しようと思ったのですが、力作が多すぎて、具体的な指摘を紹介している余裕がありません。また、ひとつひとつ、細かい部分にわたって、様々な議論があるので、(提出されたレポートに基づく)レポートや論文作成の実際的な注意は、後期の授業のなかで、時々取り上げていくことにしたいと思います。ここでは、とりあえず、皆さんに是非守ってほしい(守っておられる方が大半ですが、一応基礎の確認の意味も込めて)形式的な注意点を、少しだけ、書いておきます(お説教くさくなりますが、ご了承ください)。
 レポートをたくさん読んでいると、文章が安定している人とそうでない人の差異に敏感になります。安定の要因には様々ありますが、まず何より、論点が明確に絞り込まれていることが肝心だと思います。論点が絞り込まれていないために、結局、何が言いたいのかよくわからないまま終わってしまったレポートが僅かですが見受けられました。絞り込みがされているかいないかという点については、レポートのタイトルを見ると、だいたいわかるようです。一番重要で具体的なキーワードがひとつ、ちゃんと出ているタイトルが、内容もいい傾向にあります。次に、レポートや論文に特有の「引用」の扱い方に気をつけること。書いている主体とその主体が引用する他者の文章との区別が明確であること、これも重要です。どこまでがあなたの文章で、どこまでが参考文献から引いてきた文章なのか、その境界が曖昧だと、あなたのレポートであるはずの文章が本当にあなたの文章なのかどうかわからなくなってしまいます。読み手の側に余計な猜疑心を刺激しないためにも、典拠明示(著者、書名/論文題名、出版社/雑誌名、刊行年、該当ページ)を明朗にしておきましょう(該当ページを示していないレポートがかなりの数、見受けられました)。あとは、個々のレベルで、こうしたら、もっとよくなるのでは、というような、私なりの感想というか意見もあるのですが、ここに詳しく記している余裕がありません。私の意見を聞いてみようという方々は、後期授業時にお声がけいただいてもいいですし、メールでコンタクトをとってくださってもかまいませんので、どうぞご遠慮なく。
 さて、お説教はこのくらいにしておきましょう。夏休み、もう四分の一が過ぎた、と見るか、まだ四分の三も残っている、と見るか。過去を見るのも、未来を見るのも、現在の時間の無駄である、と○○さんは言うかもしれません。なるべく現在主義でいきたいと思いますが、暑いのはやはりきついですね。予報では、明日以降、平年並み。涼しくなったら、読書や勉強のペースを上げましょう。皆さん、どうかお元気で。