最終回

セーシェル(マヘ島)

 スタンダールの『赤と黒』についてM君に、アレクサンドル・デュマ(ペール)の『三銃士』についてS君に、それぞれ発表していただきました。『赤と黒』のジュリアンのボナパルト的なところと最終的な魂の救済を願うところには、彼の愛読書がルソーの『告白』とナポレオンの『セントヘレナ日記』であったということの見事な反映が見られました。こんなふうに、或る作家・作品が人物を導く運命的なシンボルになっているというのは面白いです。M君の好発表に引きずられて私が紹介した裁判のシーンでのジュリアンのセリフには、王政復古期を舞台としているだけにより一層、平等主義というフランス革命のルソー的理想が強く響いていたように思われます。
 さて、これで、受講生の皆さんによる発表もひととおり終了し、授業もひとまず終了です。皆さん、たいへんお疲れ様でした。発表は皆さんにとってプレッシャーだったと思いますが、プレッシャーがないとなかなか鍛えられないものだなあということを体感した皆さん、とりあえずは、8月3日締切のレポート、頑張ってください。
 今日は最終回なので、授業評価アンケートに答えていただきました。特に、自由記述の欄に、この授業の全体的な感想を書いていただきました。皆さんにいただいた励ましを胸に刻み、後期の授業に生かしたいと思います。それから、「お知らせ」プリントを配りました。レポート課題の確認と、後期の「フランス文学概論II」の予告篇です。夏休みの読書のススメも記しておきました(今日、欠席された方々は、816今井研究室入口ポストにプリントを入れておきましたので、取りに来てください)。それでは皆さん、夏休み中は、是非、読書の宇宙に思い切り浸って、元気よくお過ごしください。この日誌は、休み中もぽつぽつと続く予定です。皆さんから提出されたレポートのコメントやら感想やらを書き連ねるかもしれません。というわけで、時折、覗いてくだされば幸いです。