今日はp. 57の1行目まで読みました。前回のところで参照されていたブランショの『文学空間』の一節とリクールの『解釈学試論』の一節を担当の方に紹介してもらいました。やはり、こうして、バルトの参照指示に従ってテクストの周辺を散歩すると、参照されたテクストも含めて難しい部分は残るとしても、わかる部分も確実にあって、なんというか堅実な充実感があります。配っていただいた資料は、各自、あとでゆっくり検討してみてください(私も、特に、ブランショヴァレリー批判の部分をじっくり読んでみます)。そのあと、p. 55の3行目から進みました。象徴の自由とその権利を認めること、象徴を検閲すると必ず罰を受けること(副詞impunementを使った二重否定の例文を辞書から紹介して、それに込められたニュアンスに触れました)、作品は社会を超えていくこと、作品解釈は人間次第であること、読者は作品の第一言語から出発して第二言語の展開を感じること、文学は名前の探求であり、作家はヘルモゲネスの側ではなくクラテュロスの側にいること。このあたりのテクストは、ことわざをもじった表現があったり、格言的な表現があったり、バルトの筆のノリがいい部分であると思います。議論の内容は、第1部のp. 18-19やp. 21のあたりと重なる部分も多いですが、バルトの語り方、とりわけ、ドゥポワンを多用して、さまざまに言い換えていく表現の華麗さを素直に味わいたいところです。今日は少しゆっくりめに読みました。次回は、p. 59の最後くらいまでは進む予定です。それでは、また来週。