人文社会総論

マルチニック島(プレ山)

 5コマ目、1年生の人文社会総論。今日は仏文の割当日で、私が担当しました。今回は、フランス語圏文芸の紹介と銘打って、クレオール文化論の実際を、テクスト(セゼール、ファノン)、映像(『マルチニックの少年』)、音楽(カリ)を通して、少しだけ紹介することを試みました。ダイグロシアの問題、アイデンティティクライシスの問題、同化政策の功罪の問題、などなど、諸々のテーマは全部つながっていて、それぞれ考え出すときりがないのですが、とりあえずは、フランスの「裏側」、「もうひとつの」フランスの存在に気づくことで、見えてくるものもあるのではないかという見通しを述べました。授業では、全体の話の流れをかなり単純化せざるをえなかったのですが、実際のクレオール研究では、単純な抽象化や図式化は控えて、具体的な作品の具体的な文章のひとつひとつの味わいを大事にしなければならない、と思います。久しぶりにクレオール関係の話をしたので、なんだか、アタマが活性化した感じです。夏休みは、たまったクレオール関係文献の読書が、ひとつの大きな宿題になりそうです。今日の写真は、セーシェルではなくて、授業でとりあげたマルチニック島のプレ火山を背景にした写真です(1902年の大噴火では、当時の中心都市だったサンピエールの街が、火砕流に飲み込まれ、3万人近い人々が一瞬にして消えました・・・)。