今日は、セリーヌの『夜の果てへの旅』(1932年)の続きです。郊外の現実をハードボイルドに描いた部分は、現代のいわゆる「郊外問題」と構造が同じです。堀江敏幸さんのエッセイを紹介しながら、セリーヌにおける郊外のテーマを考えてみました。それから、想像力の飛翔によって哀切な幻想が展開される、モンマルトルの丘での幻視のシーンも読みました。乾いた抒情と超辛口の社会批評は、セリーヌの文章の大きな魅力だと思います。さて、来週は休講で、次回は12月11日となります。今日お配りしたヴァレリーの文明評論『精神の危機』を読む予定です。予習をよろしく。