今日は、p.106の上から4行目まで読みました。今日読んだところでは、音楽と建築という二つの芸術が、他の芸術(たとえば絵画)と比べ、現実のオブジェに従属しないという点で人工性が高いこと、つまり、ユーパリノスのいう「唯一芸術のみによる構築物」「ある人間に完全に帰せられる傑作」(p.95)に相当するものであることが語られています。p.105のソクラテスの言葉では、音楽と建築が魂に創造力をもたらす点で特別な存在であることが強調され、さらに、二つの芸術は宇宙の生成と秩序に関わっているとさえ言われています。話題は、このあと、《抽象》という、この対話作品の中心的なテーマへと展開していきます。さて、本日にて、前期の授業は終了です。後期は10月13日の開始を予定しています。なかなか厄介なテクストですけれども、元気のある方は、清水徹先生の岩波文庫版日本語訳を参考にしながら、後期の予習を進めてくだされば幸いです(テクストのラストまでのコピーを配付しました。残部を研究室の机の上に置いておきます)。それでは、皆さん、お元気で、よい夏休みをお過ごしください。