今日は、p.97の16行目まで読みました。込み入った表現が多いところですが、ユーパリノスによる一種の天才論、一種の霊感論です。しかし、天才という単語も霊感という単語もけっして使われません。p.96の前半部分は、こんな人間がいたらすごいだろうなあ、という仮説的人物像が描かれ、後半部分で、ユーパリノス自身が「すべては明快であり、容易に見える」という瞬間があるということが述べられます。このあたり、ヴァレリーの若いときのテクスト『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』の一部と類似した面があります。思い出すのは特にダ・ヴィンチの絵画論からの引用句「万能タルハ容易ナリ」というものです。ユーパリノスの言葉は高揚した人間の熱気と神秘を帯びていて、かなりわかりにくいところもありますが、les puissancesを受けるEllesの明らかに擬人化されたイメージなど、表現の持つ面白い効果を味わっていただきたいと思います。では、また来週。