今日は、p.133の終わりまで、読みました。人間の実際の制作物においては、有用性と美と持続性の三原理が混交して現れることも多いとパイドロスは指摘し、その好例として幾何学者の仕事が紹介されます。幾何学は思考の行為による自然の抽象であり、幾何学者によって置換された第二の自然世界はそれ自体として完全な世界であると述べられています。幾何学者たちの論理の芸当について、ソクラテスは「最大の自由は最大の厳密から生まれる」と言っていますが、この言葉には、ヴァレリーの古典主義美学に通じるものがありますね。また、p.133では、ピレウスの賢者の話が出てきますが、この人物は、メチエの人(技術に熟練した職人)であることと、多様な活動において秀でた万能の人であることにおいて、ヴァレリーのなかでは、彼の愛するレオナルド・ダ・ヴィンチやアンリ・ルアールといった人物像の系列につながっているかもしれません。次回は、p.138の10行目まで読みます。予習をよろしく。