今日は、p.122の2行目まで、読みました。最後、少々急ぎ足になってしまいましたが、約束の四ページ分、進むことができました。海辺で拾った美しい物は、果たして、人間が作ったものなのか、それとも、他の生き物が作ったものなのか、それとも、自然界が長い年月をかけて作ったものなのか、という疑問。若きソクラテスは、大いに悩みます。生き物も自然界の一部とくくるならば、要するに、自然の作と人間(芸術家)の作の根本的違いは何なのか、という大問題です。そのためのヒントは既にさまざまなかたちで表現されています。たとえば、p.119の下のほうで出てくる、「芸術家は十万年、千万年、いやそれ以上の年月に値するのだ!」というせりふや、優れた芸術家が数日で成し遂げたことを自然界が成し遂げるには無限の時が必要となるだろうという言葉などがそうです。しかし、まだ、ソクラテスは、はっきりと問題を解決することができません。この難問を解くためにとるソクラテスの態度は、いわば、タブララサからの出発、というような方法です。未知なるものを前に、カオスにゆだねられた思考は、やがて運動を始め、さまざまな想念が、ある秩序をとりだすようになります。果たして、ソクラテスの思考はどこへ進んでいくのでしょうか。以下、次回。