今日は、p.137の22行目まで、読みました。パイドロスが語る、フェニキアのトリドンなる男は、なかなか魅力的な人物です。p.134で繰り出される比喩が実にイメージ豊かでユーモラスですね――優れた他者たちの脳髄を吸って太った動物の周囲には無数の空の頭蓋がごろごろしている様子とか、タコが自分の糧となるものを素早く吸い込んで自らの血肉と化していく充満のイメージとか、それと対比される、コピーしか能のない海綿動物の空虚なイメージとか……。p.135-137では、海では海賊まがいのこともやり、陸では娼館を経営したりもする悪党が、その一方で、賢人の話を聞きにでかけ、学問を好む様子が語られ、また、他の競争者たちが既成概念のコピーに走る一方で、トリドンだけは独自の造船学を築いている様子が語られます。出来合いの概念を批判するくだりは、ヴァレリーの青年期の評論『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』の第14段落を彷彿とさせます。p.137の長い台詞で紹介されるトリドンの造船哲学、というか、造船力学は、ところどころ難しくて、なんだかよくわかりませんが、報告するパイドロス自身がよくわからないと言っているので、そこのところは無理にわからなくてよいのかもしれません。年内ラストとなる次回は、p.141の終わりまで進みます。ゴールが見えてきました。予習を、どうぞよろしく。