今日は、まず、「水浴(する女)」の『旧詩帖』版と1892年版を比較し、表現の違っている部分を観察してから、ホワイティングさんによる解説にざっと目を通しました。解説の文章のなかで「hypallage代換法」という修辞学用語や「consonnes occlusives閉鎖子音」という音声学用語が淡々と用いられている点に注意を払いました。修辞学の用語や音声学の用語は説明の言葉として基本的な参照語彙となります。論者は、ボードレールマラルメとの間テクスト性に目配りしつつ、この詩篇に見られるヴァレリー独特の「肉体」観を、後の『若きパルク』との比較において浮き彫りにしていきます。こうした論の運びは、なかなか迫力があります。次回は、解説の残りをざっと読み、次の詩篇「眠れる森で」(初出タイトルは「眠れる森の美女」)に入る予定です。