今日は、1926年版のソネットオルフェウス」を、ひととおり読みました。3行目のauguste tropheeですが、おそらく、ローマ皇帝アウグストゥスの戦勝を記念した有名な遺跡trophee d'Augusteへの参照があるだろうと思います。音的には第一tercetのche(シュ)の連続が石の動く感じを再現しているかもしれません。統辞的には最後から二行目のilはオルフェウスではなく直前のTempleを受けるととるほうが自然かと思われます。それにしても、1891年版と1926年版では、ずいぶんと表現が変わっています。「成熟」という言葉で優劣評価を下すのは安易な気がします。むしろ、力点が異なるという言い方が妥当でしょう。1891年の詩では音楽家としてのオルフェウスのイメージが強調され、1926年の詩では建築家としてのオルフェウスのイメージが強調されているように思われます。次回は、注釈の残りをざっと説明したのち、次のソネットヴィーナスの誕生」(『旧詩帖』版)を読みましょう。