今日は、二番目の詩「エレーヌ」を読みました。ソネットです。一番目の詩「紡ぐ女」がかなり難しい詩であったのに比べると、こちらはとてもシンプルな感じがします。今日は、構文や語彙を確認しながら、ひととおり、意味とイメージを追ってみました。「紡ぐ女」と共通しているのは、やはり、感覚主義的リアリズムとでもいうべきものです。「エレーヌ」では、いわゆる知覚動詞構文が三つも出てきました(entendre+名詞+動詞の構文が二回、revoir+名詞+動詞の構文が一回)。感覚主義的リアリズムのなかに、官能的な回想の哀切さ、既にない遠い出来事であることを示す半過去の哀切さが絡まっているところが印象的です。随所に古代のガレー船の波を切って進む姿が喚起され、運動性に満ちた立体的叙景になっています(ラストの三行、船がエレーヌの待つ港に入ってきて目の前に停泊する感じがします)。来週はホワイティングさんの注釈を読みます。余裕があれば次のソネットオルフェウス」を読んでおいてください。