今日は、「紡ぐ女」についてのホワイティングさんの解説を、ざっとかいつまんで紹介しました。全体に醸し出されているイメージは非現実的ですが、個々に使われている単語や個別の感覚的なイメージはきわめて現実的です。こうした感覚主義的リアリズムとでもいうべきヴァレリーの詩法のポイントは、特に音の工夫のうちにあります。p.24の上で、アリテラシオンとアソナンスを重要視するヴァレリー自身の談話が紹介されていました。こうした詩法の上でも、また、眠りと夢の表象、精神と身体感覚の複雑に絡み合うリアリティといったテーマの上でも、この『旧詩帖』の第一の詩篇は、マニフェスト的な位置にあるといえます。ホワイティングさんの注釈は、示唆に富む説明が随所に見られ、大いに勉強になります。とりあえず「紡ぐ女」を眠らせたまま放っておくことにして、来週は「エレーヌ」を読みましょう。テクストは配付しました(欠席の方の分は私の研究室入口のボックスに入れておきましたので取りに来てください)。では、予習をよろしく。