前期最終回の今日は、1890年発表のソネット「白」(のち「妖精の国」と改題)と、ホワイティングさんによる解説をすべて、読みました。1890年のヴァレリーの美学が、感覚の薄味(どぎつさのない感じ)による純粋の追求にあることが、この時期の12篇の詩への言及を含んで、明快に述べられていました。やや甘ったるいこの薄味の詩学は、一年後の1891年になると、より夢想性の強い「紡ぐ女」のような詩学へと脱皮していきます。ヴァレリーの詩についての研究は、「若きパルク」と『魅惑』の研究が圧倒的に多く、『旧詩帖』や青年期の詩篇についての研究はほとんどありません。その意味では、ホワイティングさんの研究は貴重です。言及されていた1890年の他の詩篇も、時間があれば、是非読んでみたいと思いますが、とりあえず、皆さんの傑作レポートを待っています。締切は来週9日(火)午後5時、今井研究室ドアのレターボックスまで。それでは、皆さん、どうぞ、よい夏休みを!9月から留学される皆さんは、どうぞ、よい滞在を!