水2大学院演習

今日は、ヴァレリー『若きパルク』の後半部に入り、325行目から334行目まで、読みました。299行目から347行目までの部分については、高橋俊幸氏の論文「〈若きパルク〉新訳・註解の試みのためのメモ」(『芸文研究』第88号、2005年)にじつに明快な解説があ…

今日は、ヴァレリー『若きパルク』の299行目から324行目まで(第10節の第3パート)、読みました。省略符号が多く使われていますが、これはパルクの歩み(足跡)の形態的な擬態です。波と風の混じる風景を、流音を多用して表すのは音韻的な擬態です。ヴァレリ…

今日は、ヴァレリー『若きパルク』の280行目から298行目まで(第10節の第2パート)を読みました。涙に呼びかける場です。涙が生まれてくる過程を迷宮からよじのぼってくるイメージでさまざまに変奏しているのに加えて、音素が意味素を呼び、イメージが分娩の…

開講しました!

今日は、後期の初回。『若きパルク』の構造について、私のメモを基に、説明しました。光と影、エロスとタナトスの対比的モチーフが交互に現れ、前半部(324行目まで)と後半部(325行目から512行目まで)がほぼ黄金分割の比をなして鏡像関係にあること、詩の…

今日は、ヴァレリーの詩『若きパルク』の243行目から279行目まで、読みました。基本的にはタナトスのテーマが主調音を成しており、ところどころ、その主調音をコントラストで浮き彫りにするように、エロスのテーマが出現してくるようです。全部で512行ある長…

今日は、ヴァレリーの長詩『若きパルク』の209行目から242行目まで、読みました。222行目の途中で、突然、タナトスのテーマからエロスのテーマに一転します。春の樹木のエネルギー全開のイメージがいくつもの比喩を畳みかけるように用いて示される箇所でした…

今日は、ヴァレリー『若きパルク』の185行目から208行目まで、読みました。パルクのテクスト空間では、生と死のテーマが裏表入れ替わるように、また、生のテーマはさらに意識と性愛のテーマに変奏されて、とりわけこの性愛=エロスのテーマが死=タナトスの…

今日は、ヴァレリー『若きパルク』の184行目まで、読みました。死への意識に「危険なまでに」捉われてしまったパルクは、予言=思考のもたらす倦怠が理由であると述べたうえで、一行空けて、185行目から少女時代の「ある夕べ」の思い出について語ります。次…

今日は、ヴァレリー『若きパルク』の148行目後半から166行目まで、読みました。パルクはいかんともしがたく影=死の意識のほうへと傾斜していきます。「震えおののく」frissonnerの語源にある「冷たさ」すなわち死の冷たさが、陽光の下にあっても、感じられ…

今日は、ヴァレリー『若きパルク』の122行目から148行目まで、読みました。お花畑を意気揚々と歩いていくパルクの幸福な姿に、じわじわと「影」=「死への欲望」が近寄ってきます。半過去形(時に単純過去形)による回想の語りから、現在の状況を確認する現…

今日は、ヴァレリーの詩『若きパルク』の97行目から122行目まで、読みました。101行目と102行目の〈私〉に一定の対照性があることは確かですが、その対比もひとつの〈私〉のなかのことです。パルクの複合性として捉えておきます。次回(6月14日)は少なくと…

今日は、ヴァレリーの詩『若きパルク』の第3章の終わり(96行目)まで、読みました。第3章は蛇への呼びかけですが、それは、同時に、パルク自身への呼びかけでもあります。パルクがパルクにぶつける語りです。64行目から76行目までで魂(=精神)の純粋でな…

今日は、ポール・ヴァレリーの詩『若きパルク』の69行目まで、読みました。自分自身が蛇になったことを自覚するパルクが、蛇に向かって、お前はもう要らないという、ややコミカルなところです。全体像がぼんやりと見えてくるまで時間がかかりますが、めげず…

今日は、『若きパルク』の44行目まで、読みました。26行目から37行目までの部分は時制の変化の問題と構文把握(Quandをどう考えるか)が難しかったですが、パルクが蛇と一体化しているイメージが浮き上がってきました。また、43行目ではアクサンシルコンフレ…

今日は、『若きパルク』の27行目まで、読みました。凝縮された言語芸術の世界です。最初のうちはとにかくこの世界の仕組み(多義的な語彙、多彩なレトリック、対比的イメージの重層、ミメーシス的な音の効果、等々)に慣れることが大切です。全512行を前期&…

今日は、『若きパルク』の冒頭部8行目まで、読みました。まず語彙・文法レベルで、できるだけ正確な読解を目指します。定型詩の要請による特殊なかたち(たとえば倒置や、冠詞の省略など)もありますが、「難解」とされる詩も、基本的な文法は普通の文と変わ…

開講しました!

詩人ポール・ヴァレリーの代表作で、今年で発表からちょうど百周年となる『若きパルク』を読んでいく授業です。第一回、導入の今日は、さっそくテクストコピーを配付し、詩の形式(アレクサンドラン、脚韻は平韻)について基本的な知識を復習し、異文付き校…