火2ヴァレリーの詩を読む

今日は、「帯」を読みました。11行目から12行目の「私の沈黙とこの世界との最後の絆」は夜の訪れと共に切れていきます。その絆がフェイドアウトしていく様を、12行目の終わりの省略符号はよく示しています。続く最終詩節の「不在、存在」のあとの省略符号も…

今日は、「歩み」のワルゼールによるコメントの残りをざっと読んでから、最後に、「帯」に入り、最初のところだけ目を通しました。ボードレールの「夕暮れのハーモニー」と似た世界です。モネスティエによれば、この詩のイメージや響きは、ボードレールの詩…

今日は、ワルゼールの本の265頁に紹介されている、ヴァレリーの講演の一節を、丁寧に読んでみました。ここには、詩が誕生する瞬間の、形式と内容が未分化の状態が描かれています。形式と内容がまだ分離せず、一体化している状態は、たとえば、フランスの複数…

今日は、「歩み」についてのワルゼールの解説に入り、p.265の引用文の前6行目(circuler en lui)まで、読みました。解説や論文を読むのは、それなりに訓練が必要です。論の流れを追いつつ、節目節目で論の構成、主張のポイントを確認する癖をつけましょう。…

今日は、「歩み」を、ひととおり読んでみました。2行目の「サントマン、ラントマン、プラセ」というところは一歩一歩進んでくる「歩み」の擬態、つまり模倣的諧調でしょう。接吻の実現よりもむしろ、それに至るプロセス(待機)の幸福を描いた詩、日常のなか…

今日は、「ポエジー」の続きです。まず先週読んだ部分をゆっくりと復習してから、残りの三つの詩節を読み終えました。最後の詩節は、ラ・フォンテーヌの『寓話』とよく似た、教訓風なオチになっていましたね。ワルゼールのコマンテールを少しだけ紹介して、…

今日は、「ポエジー」に入り、第8詩節の終わり(全体の32行目)まで、読みました。詩の女神ポエジー(=わが母なる霊的存在)が突然、霊感の乳を出さなくなってしまった事態に、乳飲み子である詩人が驚き、以前を懐かしみ、現在を呪い、女神に詰問するも、「…

今日は、「ポエジー」に入る予定でしたが、前回のモネスティエさんによる設問3に出てきた「アルフレッド・ドロアン」の言葉が気になり、たまたま、このドロアンなる人物による書物『ポール・ヴァレリー氏とフランス詩の伝統』が私の本棚から出てきましたの…

今日は、先週の続きで、「蜜蜂」をめぐる批評的言説に付き合ってみました。解説やコメントを考える場合、「設問」がいくつか用意されている点がクラシック・ラルース版のいいところです。前半の女性韻と後半の男性韻の対立の意味とか、この詩のプレシオジテ…

開講しました!

今日は、ヴァレリーの詩集『魅惑』から、ソネット「蜜蜂」を読みました。死に似た愛のまどろみからの解放を願い、目覚めの一針を期待する女の話です。マニエリスム、プレシオジテの詩と言われればそれまでかもしれませんが、軽快さのなかに、ヴァレリーらし…

今日は、「円柱の歌」の最後まで、読みました。柱たちの矜持に満ちた自己顕示の描写が続きました。このヴァレリーの詩の発想源となった友人アンドレ・ルベイの詩の一部がモネスティエさんの注に紹介されていました。柱があくまでも人間による芸術作品である…

今日は、『魅惑』の第三番目の詩「円柱の歌」に入り、第五詩節の終わり(全体の20行目)まで、読みました。歌う円柱たちという表象は、ヴァレリーにおいてよく見られる「建築と音楽の深い親近性」を示す具体例のひとつです。もちろん、円柱が実際に音を出す…

今日は、「プラタナスの木に」の最後の四詩節を読み終え、続いて、『魅惑』第三篇「円柱の歌」に入り、導入部に置かれたモネスティエの解説を、読みました。次回は本文の読みに入ります。どんどん読んでいく予定ですので、予習をよろしく。

今日は、「プラタナスの木に」の続きを、56行目まで、読みました。第二部(17〜40行)が孤独とエロス的な幻想をテーマにして、ややネガティブなイメージが支配的であったのに対して、第三部(41〜56行)は、吹きつける風に応えて激しく揺れ動くプラタナスの…

今日は、「プラタナスの木に」の第8詩節の終わり(32行目)まで、読みました。木が大地に根を張って、自由に身動きできないということが、さまざまなイメージを用いて表現されています。その孤独なあり方を強調するためでしょうか、満たされることのないエロ…

今日は、『魅惑』の二番目の詩「プラタナスに」の第二詩節の終わりまで、読みました。また、詩の読みに入る前に、モネスティエによる最初の解説を丁寧に読みました。そのなかで、「詩人の使命は、無秩序を秩序化し、闇を照らし、生命の本能的な力を知的な言…

今日は、「曙」の最後まで、読みました。観念の圧力に対抗して、身体の感覚を開放することで詩の言葉に近づこうという動きが、イメージ豊かな言葉で描かれていたように思います。最後の「希望」のイメージは、モネスティエの「ニンフ」から鈴木信太郎の「白…

今日は、「曙」の第五詩節の終わり(50行目)まで、読みました。前回までのところの復習に時間をかけました。35行目のsagesには、賢いという意味だけでなく、身持ちがよいという意味が重なっていることが文脈から明らかでした。この「観念たち」は一方では娼…

今日は、「曙」の第四詩節の終わり(40行目)まで、読みました。「仲良しの互いに似たものたちsimilitudes amies」が少しずつイメージを変えながら、33行目の「イデーIdees」へと至ります。一貫しているのは女性、それも、古代ギリシャの教養ある高級娼婦(c…

今日は、全体解説のpp.21-25の要点を駆け足で説明してから、いよいよ作品に入り、第一篇「曙」の第一詩節(1〜10行目)を、読みました。モネスティエの解説を読めば、一定の物語や象徴性が「理解」できるように感じるのですが、まずは、ヴァレリーのテクスト…

今日は、前回の続きで、全体的解説のp.21の真ん中まで、読みました。少し残ってしまった部分は、来週、簡潔に要約して説明します。全体的な解説はこれで終わりとし、来週から、いよいよ、第一篇「曙」の読みに入ります。一応、30行目まで、予習をしておいて…

今日は、クラシック・ラルース版『魅惑』の編者ロベール・モネスティエによる解説文を、p. 20の3行目まで、読みました。ヴァレリーの「純粋詩」は散文的要素を排除します。19頁後半部では、個人的な感情の吐露も詩から厳しく排除されることが述べられていま…

今日は、先週に続き、ヴァレリーの生涯について、特に、略年譜の1917年の項目に紹介されているヴァレリー自身の言葉のオクシモロン的な味わいなどについて、説明しました。モネスティエによる紹介記事の初めのところを読みました。以下は省略し、来週は、今…

開講しました!

本日、開講しました。初回の今日は、まず、『講義概要』にもとづいて、授業の内容や成績評価の方法を確認したのち、プリントを配付し、クラシック・ラルース版『魅惑』の冒頭部に記されたポール・ヴァレリーについての基本的な紹介記事を参照しながら、ヴァ…