今日は、「コローをめぐって」のラストまで、読み終えました。最後は急ぎ足となりましたが、ヴァレリーにおけるcompositionの概念の図式的整理を試みました。用いられている語彙をポジティフとネガティフに分けて整理してみると、だいたいの対立関係(説明のレベルでは相互補完関係)を浮き彫りにすることができます。多様な変奏的表現の列挙のうちにヴァレリーの熱した息遣い――古典的な芸術の約束事が崩れていくことへの哀切さのようなもの――がじわじわと伝わってきます。結局のところ、コローは、コンポジシオンを絶頂まで高めながら、同時に、その崩壊、デカダンスの先鞭をもつけてしまったということのようです。次週22日は創立記念日のため休講となりますので、次回は6月29日となります。続いて、やはり1932年のエッセー「マネの勝利」をじっくりと読んでいきます。予習をよろしく。
 なお、本日、レポート情報をアナウンスいたしました。テーマは「文章作家と美術」です。文章作家はフランスの作家でなくても可、美術は絵画・版画・彫刻に限らず音楽・建築などでもかまいません。3000字程度(上限なし)。7月20日の授業の時に教室で、または、20日の18時までに今井研究室入口ドアのレターボックスに提出とします(締切厳守)。提出物は必ずコピーをとっておいてください。力作を待っています。