「芸術についての考察」の続きです。今日は、p.68の「美的無限」からの引用部分の下から8行目のところまで読みました。芸術作品とは何か、という問いをめぐる考察は、まず、特殊個別的な感覚に応える点で一般的な有用性を持つものではないことが指摘され、次に、注意力による特殊化という観点から、個性と時間の特殊性(芸術作品は誰にとっても芸術作品であるわけではなく、また、常に芸術作品であるわけでもないこと)が指摘され、最後に、実用的な事柄とは異なる美的な事柄においては、知覚は廃棄されることを志向せず、逆に保存され、再生産されることを志向するということが指摘されます。今日は、この最後の「美的無限」をめぐる文章のうち、実用的な事柄の特徴を述べた部分で時間となりました。実用的な事柄における知覚は、その廃棄、いわば、感覚メーターをゼロに戻そうとすることを本質とするという指摘は、とてもメカニックなイメージがあって面白いところでした。次回は、「美的無限」を正面から述べた部分を読んでいきます。では、また来週。