今日は、18世紀フランス文学の流れについて概説したのち、ヴォルテールの『カンディッド』とディドロの『ダランベールの夢』の一部を紹介しました。『カンディッド』はミュージカル化されていて、ちょうど今、東京の帝劇で上演されているようですし、過去の上演のDVDなどもあるようです。波乱万丈の冒険物語を挟む、冒頭第1章とラスト第30章を読んでみました。当時の思想状況に対する風刺がきいていますが、とにかく文章が痛快です。カンディッドとキュネゴンドがついたてのかげで触れ合うシーンの記述は、単純過去をリズミカルにたたみかけていて軽快かつ滑稽です。最終章は思いのほか堅実な道徳論が述べられています。『ダランベールの夢』は急ぎ足になってしまいましたが、レスピナッス嬢の淡々とした観察報告と事態のリアリティとの落差がおかしみをうみだしていて、現代小説の一節を読んでいるような印象を与えます。興味を感じた方は是非、全体を通して読んでみてください。次回はルソーの『告白』と『孤独な散歩者の夢想』を紹介します。では、また来週。