駐日フランス公使プノ氏講演「欧州連合―フランスからの視点」を聴く

 今日は、講演会を聴きました。東北大学創立百周年記念事業を兼ねた講演会ということで、多くの方々が来ていらっしゃいましたね。ところどころ眠くなってしまう部分もありましたが、トルコの加盟問題に話題が向いたときだけは頭が覚醒しました。さすが外交官、話が上手で、隙というものがありません。トルコの加盟は早くても2015年とされているが、賛成か反対か、自分の考えを述べるのは、まず、トルコが加盟のための基準を満たしてからだ、と慎重なお言葉。その一方で、或る程度予想されたお答えではありましたが、フランスやドイツなどEU各国内には既に多くのイスラム教徒がいて、イスラム社会と西洋(キリスト教)社会との対峙(同化・融合問題)はEU内部での問題として既に現在化しているので、将来的なトルコの加盟あるいは非加盟がEUにとって大きな問題になることはない、という見通しだけはキッパリと示されました。アイデンティティの問題は常に最もデリケートな問題でありつづけるのですが、イスラム教徒を中心とする移民社会がヨーロッパに大きく広がっている現実が、中世の『ロランの歌』に出てくるような単純な図式(キリスト教ヨーロッパvsイスラム世界)を、どんどん追い越してしまっているんだなあ、という印象を受けました。というわけで、今回の講演会、大いに勉強になりました!それにしても、あの専属通訳の方、早口でしかも的確、あれはひとつの「芸」ですな、と、いたく感心した次第です。
 さて、また、来週から普通の授業に戻ります。とりあえず、フロベール感情教育』から二月革命のシーン、特にフレデリックがアルヌー夫人を今か今かと待つのですが、待ち人来たらずのシーンを読んできてください。