美的経験の一般的分析

 コロー論を読み進めて来て、突然、高度に抽象的な美的経験論が開示される箇所に突き当たり、今日はその箇所のテクストの模様を丁寧に眺めてみました。使った方法は昨日触れた「比較断章法」というやつです。テクストのかたまりがある程度大きいマクロ的な比較断章法と比べると、今日のテクスト分析ではむしろミクロ的なパラレルシュテレンメトーデを適用しました。これはたとえば日本語の現代文の評論の読解などの場でも十分応用できる方法です。類似(同形)表現をつなげて系を作り、テクストを図式化していくことで、述べられている内容を「見える化」します。そうしてみると、1336頁のヴァレリーの文章はきわめてシンメトリック幾何学的であることがわかります。場合におうじて、マクロ的パラレルシュテレンメトーデとミクロ的パラレルシュテレンメトーデを使い分けながら、各人の文学研究をダイナミックな場にできればよいと思います。