『ブヴァールとペキュシェ』は『政治教育』である

 コンパニョンさんの『文学の第三共和政』第2部後半のフローベール論に入って第二回目となります。フローベールの『ブヴァールとペキュシェ』と『感情教育』という二つの作品の執筆計画は一八六三年において競合していたけれども、結局フローベールは『感情教育』のほうに決め、一八四八年以前の執筆計画をもう一度取り上げて、小説のなかに革命を導き入れることでかつての計画はうまくいくことになった。『ブヴァールとペキュシェ』は、『感情教育』のパリを舞台とした第三部と対をなす田舎版という側面を含んでいる。パリ・コミューンで一八四八年の二月革命を思い出してすぐにフローベールが取りかかった『ブヴァールとペキュシェ』は、言わば『政治教育』なのだということ。こうした解説を読むといっそう、『ブヴァールとペキュシェ』第六章(政治の章)の問題性が重みを増してくるように思われます。このまとまった部分はかなり力のこもった解説になっています。では、また来週。