今日は、フローベールの小説『ボヴァリー夫人』第2部第8章の有名な「農事共進会」の場面をゆっくりと読んでみました。政治の紋切型言説と恋愛の紋切型言説とがパラレルに展開され、双方の言葉の空虚が浮き彫りになるという、じつに印象深いところで、何度読んでもその滑稽さに笑える部分です。残り時間で『感情教育』の冒頭部を少しだけ読みました。船の進んでいくにつれてセーヌ河岸の景色が(巻物を開いていくように)次々と展開されていく様子が、物語の始まりそのものを模倣(ミメーシス)しているようでした。なお、来週のこの授業は休講となります。次回12月12日は『感情教育』の続きを読みますので、今日お配りした資料をお忘れなきよう。