今日は最終回、ヴァレリーの1932年のエッセー「マネの勝利」を最後まで読み終えました。ゾラとマラルメのような文学論的には正反対の人々をも魅了したところにマネの栄光があると語るヴァレリーは、ラスト部分で、マネによる有名な肖像画「黒い帽子の(あるいは、すみれのブーケをつけた)ベルト・モリゾ」(1872年)をマネの最高傑作と評しています。あの大きな目はいわば「不在の存在」を示しており、圧倒的な黒のイメージとあわせて、その絵の全体が独特の「ポエジー」の感覚を強く喚起している、とヴァレリーは絶賛です。後期は、ヴァレリーの奥さん(ジャニー・ゴビヤール)の叔母に当たる(したがってヴァレリーの義理の叔母さんに当たる)このベルト・モリゾについてヴァレリーが書いた文章を読み、さらに、ヴァレリーが最も親しく交わったドガをめぐる文章なども読む予定です。授業後、課題レポートを集めました。最終締切は本日18時です。それでは、皆さん、どうぞ、よい夏休みをお過ごしください。休み明け10月5日にまたお会いしましょう。