氷の荒野にオジグ登場

 今日はp.21の一番下まで、読みました。冒頭からおよそ一頁半にわたって半過去一色。半過去の基準点より以前に生起した事象を記す大過去も含めて、ひたすら描写につぐ描写でした。写真の並列、あるいは、動画的な各種ショットの連続的な提示により、荒涼とした氷の世界、生命反応のない不活性世界のイメージが読者の想像界を占領します。そこへ、狼殺しのオジグ、つまりは主人公の登場です。彼の最初の行為を示す動詞はeut、すなわち単純過去形です。eut pitié des choses animées(生きているものを憐れんだ)という表現はキリストをイメージさせるかもしれません。ネタバレを避けるため、これ以上は言えないのですが、実際、オジグは救世主のイメージです。ここから主人公の動きを表すしるしとして単純過去がいくつも出てきます。背景の半過去、動き(事件)の単純過去、あるいは、線分の過去である半過去を背景に点の過去である単純過去がちりばめられるテクスト場が続いていきます。予習をどうぞよろしく。