どのように書かれているのか、ヴァレリーの文章芸をしっかり見る

 今日はヴァレリーのコロー論「コローをめぐって」の読みの続きで、テクストp.1331の真ん中下の行空きのところまで、読みました。息の長い文が「3」(要素をかならず3つ挙げる)のリズムで展開されていること、一か所リズムが少し乱れているところ(avancerという単語)は、わざわざイタリックで強調されて目立っていること、アングルがdoctrinesの人なら、ドラクロワthéorieの人だという絶妙な対比(これはドガ論でも裏付けられます)(それぞれの単語もやはりイタリックで強調されています)などなどにいちいち気をつけながら読みつつ、対比のレトリックを繰り出されるうちに、どうやらコローには他の画家のような激しさはなく、むしろ穏やかに観想し、淡々と仕事に向かう人であるらしいことが伝わってきます。こんな調子でこまかく文章芸を観察しながら読んでいくと、この、だらだらした印象の、ぼんやりと控えめなおしゃべりに思われるようなテクストの真の価値を見出すことができるかもしれません。では、また来週。