今日は、断章「床と不定形なものについて」をp.535の下から8行目まで、読みました。特に「私は時折、不定形なものについて考えた」で始まる約一頁分の段落は、ヴァレリーの芸術論の根本が述べられている部分です。何物にも似ていないものとは、既知の部分に還元されないものであり、明確な描写や認識から抜け落ちるものですが、芸術家は何とかしてその「不定形なもの」を認識可能なものにしなければなりません。この論の骨格は、若い頃のダ・ヴィンチ論の冒頭部に同じ表現が見られます。普段の認識から抜け落ちるもの、言葉にならないものを、何とかして捉えよう、表現しようと努力することが、ヴァレリーにとっての生涯の課題でした。その意味でもかなり重要な一節でした。改めてそのことに気づかせてくださった発表者の方に感謝です! では、また来週。