今日は、フローベールの小説制作論について触れてから、小説『感情教育』の冒頭部を丁寧に読んでみました。前回、フローベールの小説は言わば小説の小説というメタ性が際立っているというようなことを申しましたが、この冒頭部もやはりそのよい例です。これは一般に小説の始まりというものを具体的に描いた一例と言えます。不鮮明な霧・靄・蒸気が立ち込めた世界から次第に霧が晴れて太陽が顔をだす鮮明な世界に移行するところなど、登場人物が煙幕の中から舞台に登場するようなワクワク感を刺激しますし、物語のはじまりが「巻物を展開していく」イメージで語られている点も小説の説明そのものです。こうしたメタ小説はとにかく濃密な言葉のリアリティに満ちています。残りは年明けに読みます。最後にもう一度テストの内容についてお知らせしました。冬休みの間にテーマを決めておかれることをおすすめします。それでは皆さん、よい年末年始を!