今日は、いよいよユイスマンス自身のテクストの読みに入り、56番の「ポンヌフ橋のセーヌ河」を、読みました。娼婦マルトがセーヌ河の欄干のテラスで不安な時を過ごします。彼女の目に映る事象のイメージは彼女の精神状態を反映して微妙なニュアンスを帯びます。こういう心象風景描写はフローベール、ゾラが得意としたものですが、もちろんユイスマンスも負けてはいません。p.214の第三段落はマルトの視点から眺めた心象風景的な絵画的風景描写として見事な一例になっていると思います。次回は、85番全部と86番の途中(p.327のMaisで始まる段落の直前)まで読む予定です。予習をどうぞよろしく。